YOASOBI、LE SSERAFIM、SUPER BEAVER、福山雅治、My Hair is Bad、岩田剛典……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はYOASOBI「Adventure」、LE SSERAFIM「EASY」、SUPER BEAVER「切望」、福山雅治「ひとみ」、My Hair is Bad「自由とヒステリー」、岩田剛典「MVP」の6作品をピックアップした。(編集部)
YOASOBI「Adventure」
一般公募された“ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでの学生時代の忘れられない思い出”のエピソードの中から、YOASOBI賞に選ばれた小説『レンズ越しの煌めきを』をもとに制作され、昨年2月15日に配信リリースされた「アドベンチャー」の英語バージョン。アコギと歌で始まり、色彩豊かなシンセ、心地よく飛び跳ねるトラックを伴いながら、ポップな世界観を演出している。代り映えのしない日々を送っていた主人公が、非日常的な空間に足を踏み入れ、自身の心と身体を解放する姿を描いたリリックも気持ちいい。〈Step out of my regular day-to-day〉からはじまるコーラスパートが加えられたこの曲は、ikuraの正確にして滑らかな英語の発音も相まって、「アイドル」に続き、国境を越えたリスナーに飛び込んでいくことになりそうだ。(森)
LE SSERAFIM「EASY」
3rdミニアルバム『EASY』の表題曲。5曲入りの作品は、まさかのギターリフ&ポエトリーリーディングに度肝を抜かれる「Good Bones」からスタートするが、この「EASY」もかなり意外なナンバーだ。R&Bをベースにしたメロウな曲調で、メロディはどこか悲しげで気怠いムード。チキチキと鳴るハイハットは別としても、全体的には90年〜00年代のR&Bを彷彿とさせる作りである。シンガーが自宅のベッドでまどろんでいる映像を合わせれば、恋人を思うバラード、みたいなMVが完成しそうである。だからこそ衝撃なのは、LE SSERAFIMが、それにここまでアグレッシブなダンスを合わせたこと。かくも大胆に肌を露出しながら、セクシーではなく、格好いい路線を貫けるのもすごい。(石井)
SUPER BEAVER「切望」
ニューアルバム『音楽』のオープニングを飾る一曲。近年は大型タイアップが続き、ストリングスやピアノのアレンジも当たり前になってきたSUPER BEAVERだが、今作はライブで鳴らす瞬間のダイナミズムを無心に求めたような、爽快感と躍動感で駆け抜けるギターロックだ。自分たちはこういうものが一番得意だし、この瞬間に今もたまらない幸せを感じている、という自負心が音の端々から伝わってくる。もっとも4人だけで完結する身内ノリはない。全員でコーラスするサビの歌詞〈僕は笑顔の渦を作りたい〉〈巻き込んで笑いたい 巻き込まれて笑いたい〉にはなかなかグッとくる。みずみずしさと、向こう見ずな若さは違う。今だから歌える決定打。(石井)