My Hair is Bad、連作で味わうストーリーテリング 別れ際の心情描写に光る椎木知仁の才
「悲劇のヒロイン」では〈君〉の存在は描かれているが、〈君〉が〈私〉の前に姿を現す描写は登場しない。〈私〉は〈君〉との別れを目前にして、これまでの〈君〉との記憶を振り返り、今の〈君〉の気持ちを想像し、「まだ好きだ」という気持ちを確認し、実際にその気持ちを〈君〉に伝えたのか伝えていないのかわからない状況で楽曲は終わる。
曲のタイトルは「悲劇のヒロイン」。“悲劇のヒロイン症候群”という言葉があるように「悲劇のヒロイン」という言葉はしばし「悲劇のヒロインぶる女性」というように、ネガティブな意味で使われることがある。この楽曲の〈私〉のひとりジタバタともがく様をひとり相撲のように捉え、冷めた視点でつけられたタイトルにも思えるし、本当にかわいそうな悲劇のヒロインの意味でつけられたようにも思える。
2月21日にリリースされる次なる新曲のタイトルは「自由とヒステリー」。「悲劇のヒロイン」の2番で描かれた〈冷静にみてたらヤバいね／そういえばいっつもごめんね／今日は月が綺麗だ〉という〈私〉のジェットコースターのような感情の振れ幅はどこかヒステリックだ。「悲劇のヒロイン」で描かれた〈私〉と〈君〉の第二章が「自由とヒステリー」で描かれているのだろうか。いずれにせよ、「悲劇のヒロイン」と「自由とヒステリー」の2曲はMy Hair is Badの新たなフェイズを鮮やかに示す連作なのではないだろうか。
◾️配信シングル情報
「悲劇のヒロイン」
2024年2月14日（水）リリース
ダウンロード／ストリーミング：https://lnk.to/mhib_hh
「自由とヒステリー」
2024年2月21日（水）リリース
◾️ライブ情報
『My Hair is Bad presents「三燦燦」』
3月5日（火）開場17:30／開演18:30
Zepp Fukuoka w/ 10-FEET
3月7日（木）開場17:30／開演18:30
Zepp Osaka Bayside w/ UNISON SQUARE GARDEN
3月14日（木）開場17:30／開演18:30
Zepp Haneda w/ SHANK
