KAT-TUN 上田竜也が描いた“夢の国” 中丸雄一も駆けつけた2度目のソロライブツアー

上田竜也ソロライブツアーレポ

 約14年ぶりとなる上田竜也(KAT-TUN)の全国ソロライブツアー『MOUSE PEACE 2024 ~我龍転生~』が1月6日のZepp Sapporo(北海道)を皮切りに愛知、大阪、福岡、東京の全国5都市をまわり、計15公演を行った。今回で3回目を数える上田のソロコンサートは、2月7日にデジタルリリースのEP『ギリスト!』をはじめ、過去の楽曲もグレードアップした演出で届けた。本稿では2月6日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で行われた昼公演をレポートする。上田が描いた“夢の国”とはーー。

 「竜也」コールで開演の時を待つオーディエンス。暗転した会場のステージモニターには、大きな船が荒波の中を突き進む壮大なスケールのオープニング映像が流れる。緊迫感のある音楽をバックに、映像に登場する大きなドラゴンがモニターを飛び出して会場に出現。全長6.5mのドラゴンバルーンが客席の頭上をゆらりと泳いだ。スモークと赤い照明でライブコンセプトを表現し、上田が描く“夢の国”へと誘った。

 ツアータイトルに“我龍転生”と掲げたように、ドラゴンを彷彿とさせる衣装の上田がポップアップでステージ中央の上段に登場。赤と白の照明に照らされた上田は「お待たせしましたー!」「 最高に盛り上がっていこうぜ!」と声を張り、「ヤンキー片想い中」を熱唱。サビでは〈「おまえがすきだよ」〉と歌いながら右手を高く掲げた。バンドメンバーを紹介するようにそれぞれの場所に寄りながら、ステージへと降りる。曲間に「まだまだ足りねぇな!」「お前らの声で電気落とそうぜ!」と直前の停電トラブルを笑いに変えると、早くもオーディエンスとの一体感が生まれた。

 ブルーと白の照明がステージを照らし、モニターもモノクロ映像に切り替え「~again」へ。雪のようなスモークの演出で雰囲気を一変させた。上田は感情たっぷりに歌い上げたほか、バンドメンバーの真巳(Gt)の後ろから腕を回してバックハグする一幕も。演出、表情、仕草などで切ない楽曲の世界観を演出した。続く「BUTTERFLY」では上田がギターを演奏。地底から突き上げるような重低音が会場を包み、上田のギターとラップでさらにディープな世界へと誘う。

 ドラムの太いリズムが響く会場。上田は「まだまだこんなもんじゃねぇよな?」「全身全霊、声をあげて最強にもりあがってけー!」と煽る。ここからのセットリストでオーディエンスを翻弄し、続く「百花繚乱」でボルテージは最高潮に達した。

 「みなさん、飲み物を飲みながら失礼します」とドリンクを手にした上田。「さあ、お待たせしました。改めまして上田竜也でございます」と挨拶をすると会場からは歓声と大きな拍手が送られた。「20分ほどですか? ちょっと押しましたね。すみません、僕の焦らしプレイではありません(笑)」と冗談を挟みながら、「きっと神様か何かが『MOUSE PEACE』を止めたくないと言っているのでしょう」と、トラブルに動じることなくエンタメに昇華させた。

 続いて今回のツアーを支えたバンドメンバーの紹介へ。「ヤンキー片想い中」のほかKAT-TUNの現場にも携わっている河合英嗣(Gt)に続き、「うちの姫様でございます」とTOKIE(Ba)を紹介。上田は「こんなかわいいのにベース弾かせたらゴリッゴリで可愛いんですよ」と称賛した。続いて「みなさんの感情は城戸くんによってコントロールされているといってもおかしくありません」と城戸紘志(Dr)に続き、「うちの王子」として翔馬-Shoma-(Key)を誇らしげに紹介。また「うちのアイドル」として『MOUSE PEACE』の初回公演からの付き合いでプライベートでも交流がある真巳へ。最後に“大魔王”として自己紹介した。セミファイナルの本公演。ツアーの終演を惜しむファンの気持ちを汲みながら、「夢の世界へご案内したいと思います」と次の演目へ。

 2月7日に配信開始のデジタルEP『ギリスト!』に収録の新曲「Lollipop」では、黒のアシンメトリーな衣装で登場。ここからは男女4人のダンサーも加わりより一層華やかなステージに。女性ダンサーとの艶っぽい演出に、上田のはだけた衣装からは鍛え上げた腹筋が露わに。2023年のライブツアーでも話題を集めた「ユダ」(KAT-TUNのアルバム『Fantasia』に収録)を披露したのに続き、「MONSTER NIGHT」(KAT-TUNのアルバム『楔-kusabi-』初回限定盤1に収録)では上田がモンスターメイクで登場。曲の合間にはチョコレートの香りを漂わせる演出も盛り込みながら、2013年発表のMVの世界観をステージで再現。10年の時を経ても色褪せないどころか、巧みな演出によってパワーアップさせた。

 「見て、俺の汗ヤバくない? こんなにもさ、外の気温と中の気温違うってすごくない?」とオーディエンスに語りかける。続けて「みなさんいま『MONSTER NIGHT』という曲でチョコレートのにおい感じました?」と投げかけると喜ぶファンの声が響く。上田は「このステージ、お金がかかっているので、みなさんに感じていただいてなによりです(笑)」と笑顔を見せた。また本公演にカメラ収録が入っていることに触れ、「可能性が出てきましたね!」とさらに嬉しそうな表情を浮かべる。「DVDになるなら1億払うって(言った)ヤツ、絶対払えよ(笑)!」と冗談を飛ばすと、客席からはさらに大きな歓声や拍手のレスポンスが返ってきた。

 上田のピアノ演奏にオーディエンスの歌唱が重なった「カンタービレ」。上田は「豪華なバンカラだと思って」と上手に乗せるなど、一方通行ではない参加型の演目も上田らしい。

 ライブ前日には、東京で雪景色を目にしたばかり。上田も「いいタイミング」と語り、上田が初めて作詞・作曲を手がけた「Love in snow」を披露。曲の終盤にはステージに粉雪が舞うなど幻想的な景色を見せてくれた。

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