BTS V、IUのMV出演に求められたものとは? 入隊1週間前に挑戦した引き込まれる演技
BTSのVが出演し、大きな話題となったIUのニューアルバム先行曲「Love wins all」のMV。1月24日に公開されるやいなや、わずか1日で再生回数は1500万回を突破。その勢いは伸び続け、2月1日現在では3654万回再生を超えている。
そんな話題のMVはどのようにして撮影されたのか。1月28日、IUの公式YouTubeチャンネルにて「[IU TV] 素晴らしい成果と健康を引き換えにした日([IU TV] 멋진 결과물과 건강을 맞바꾼 날)」のタイトルでビハインド映像がアップされ、Vが出演することになった理由が明かされた。
求められたのは「少年美」と「カッコよさ」を兼ね備えた人
今回のMVの舞台は荒廃した世界。謎のキューブに追われる男女が、不思議なビデオカメラを見つけ、束の間の幸せな時間を過ごす。だが、キューブの数はもはや逃れることが不可能なほどに増えていく。お互いをかばい合うように抗うのだが、2人はキューブが放つ光に包まれて……という約5分半とは思えないような短編映画を思わせる濃厚な仕上がりだ。
様々な考察がなされる中、IUの所属するEDAMエンターテインメントがコメントを発表。キューブは主人公たちへの差別や、生活の中にあふれる抑圧などを象徴しており、世界とのコミュニケーションが困難な状態にある主人公たちが過酷な状況であったとしても世の中の差別や抑圧に負けないという意志を見せているとのこと。IUの繊細でありながらも強い芯の感じる歌声が、どれほど苦しい世界にあっても愛の力を信じて突き進む勇気を奮い立たせてくれる。そんな歌声とサウンドの持つ力に、作り込まれた映像美がかけ合わさり、思わずグッと胸が熱くなってしまう。
このMVを制作するにあたり、IUはまず映画監督オム・テファにオファーをしたのだそう。オム・テファ監督といえば、大災害により廃墟と化したソウルのマンションで住民たちがサバイバルするスリラー映画『コンクリート・ユートピア』で、青龍映画賞や大鐘映画賞などでいくつも映画賞を獲得した、気鋭の映画監督として注目を集めている存在だ。
IUが「Love wins all」の世界観を構想していたときに、『コンクリート・ユートピア』を鑑賞。そのイメージとリンクしたことから声をかけたという。ビハインド映像では「そのときのセットはもう存在しないんですか?」と打ち合わせで監督に問うIUの姿も映し出されており、IUと監督のイメージする“荒廃した世界“の一致を垣間見ることができる。
そんな2人が考えたMVに登場する男性主人公は「少年らしい魅力が漂う一方、パッと覚醒したときはカッコよくて頼もしい感じの人」。とは言いながらも「そういう人っていますか?」なんて話していたそう。だが、偶然IUがVに連絡をすることがあったようで「お? V!?」とイメージしていた男性主人公像にVの存在感が一致することに気づいたようだ。
たしかに、Vのナチュラルな可愛げは「少年らしい魅力」という言葉にぴったりだ。ビハインド映像でも「IU TV」のカメラに向かって語りかけるIUの後ろから「なんでそんなに喋れるの?」と不意に乱入してくるVの姿があった。とてもじっと立っていられないほど極寒の中で撮影されたにもかかわらず、常に現場を楽しもうとしていたV。かと思えば、差し入れにたい焼きのフードカーを用意するなど、共に撮影に挑むスタッフたちへの配慮も忘れない頼もしさを感じさせる。
さらには、MVのカメラが回ると迫真の演技を見せるギャップも。特に筆者が印象に残った3つの場面がある。まずは、ビデオカメラ越しにお餅を頬張るシーン。口の周りを粉まみれにしながら頬張る姿は、まさに少年美そのもの。続いては、1本のマイクをはさんでIUと歌うシーン。幸福感漂う視線と笑顔は先ほどとは打って変わって色気のある大人の男性を感じさせる。そして、極めつけは最後に棒を振りかざしキューブに立ち向かう鬼気迫るシーンだ。息を呑む迫真の演技があってこそ、このMVが多くの視聴者の涙腺を刺激したと言っても過言ではない。