CHAI、THE 2、眩暈SIREN…同時代を生きたバンドが続々解散 変化の激しい時代に残した爪痕
日本のロックシーンを下支えしてきたバンドたちが、年末年始にかけて相次いで解散を発表した。CHAI、THE 2、眩暈SIREN、THE LITTLE BLACKといった2010年代から2020年代にわたって活動を続けてきたバンドたちがこの冬、活動を終えるのだ。音楽サブスクリプションサービスの普及とCDシェアの縮小、ヒップホップの台頭、音楽フェスの拡大、そしてコロナ禍によるライブ活動の制限など、ここ約10年あまりのロックバンドを取り巻く環境の変化を乗り越えてきたこれらのバンドの解散に、時代の区切りを感じずにはいられない。そこで、それぞれのバンドの解散に向けたラストスパートを、これまでの活動功績を交えながら振り返っていきたい。
眩暈SIREN
解散を発表した順に取り上げていくと、昨年12月9日にバンドの公式HPで解散を発表した眩暈SIRENがトップバッターとなる。眩暈SIRENは、同じ専門学校出身だったオオサワ レイ(Gt)、仄雲(Dr)、森田康介(Ba)による前身バンドの流れを汲み、京寺(Vo)が合流する形で2012年に結成されたバンドで、その活動期間は約11年にわたる。衝動的で荒々しいサウンドと世の中に絶望したような歌詞で、抗えないもどかしさや苦しみを独特の世界観で表現してきた眩暈SIREN。約5年間のインディーズ活動を経て、2019年にシングル『夕立ち』でメジャーデビューすると、これまでにシングル4枚、フルアルバム1枚をリリースしてきた。なかでもTK from 凛として時雨をプロデューサーに迎えた彼らの代表曲「image _____」は、テレビアニメ『pet』のエンディングテーマ曲ということもあり幅広いリスナーを獲得するきっかけとなった重要な楽曲である。そして、2022年にはメジャーレーベルから独立し、新たな体制で活動を模索してきたものの「バンド活動における方向性、価値観の違い」を理由に解散することとなった。まだ詳細は発表されていないが、今年2月に新曲を1曲発表することが決まっており、これを持って活動を終了するという。
THE 2
続いて2024年になり、1月10日に解散を発表したのがTHE 2である。古舘佑太郎(Vo/Gt)のバンド The SALOVERSが無期限活動休止となったことを機に、ポニーテールスクライムの加藤綾太(Gt)らと共に2017年に結成したこのバンド。ともに無期限活動休止中のバンドに所属しながら「バンドで音を鳴らしたい」という欲求が抑えられず結成に至ったという。2022年には森夏彦(Ba)とドラムの歌川菜穂が加入し4人体制となり、バンド名を「2」から「THE 2」へ改名。メンバー全員が前バンドの解散や活動休止を経験しており、THE 2での活動がセカンドキャリアとなっている。
切れ味の良いオルタナティブロックを基調としながらも、ポップやダンス、ファンクなどの要素を取り入れた多彩なサウンドが特徴的な彼ら。なかでも代表曲となったのが「恋のジャーナル」である。この曲には、トータルプロデューサーとして山口一郎(サカナクション)が参加しており、4つ打ちのビートとキャッチーなリフ、焦燥感のあるヒリついた古舘のボーカルが融合することで、THE 2の魅力が凝縮された一曲に仕上がっている。2022年9月にリリースされたデジタルシングル「ミスサンシャイン」以降、ライブやイベントへの出演も限定的になっていた最中、2023年5月に歌川が脱退。そして今年1月に「三人の未来がバンドとして一つになることはどうしても難しい」という理由でバンドの解散が発表されるに至った。約7年の活動を締めくくるのは、2月に控えている東京と大阪でのワンマンライブ。ステージの上でバンドの歴史に、自ら幕を下ろすこととなった。