SIRUP、Yo-Sea、林和希、Furui Riho、aimi……ジャパニーズR&B、2023年トピックから知る現在地
2023年にはほかにも、覚醒や大きな変革によって脚光を浴びるアーティストが続出。時代を牽引するポップスター藤井 風は、「grace」以来およそ10カ月ぶりにリリースした新曲「Workin' Hard」で従来のイメージをごっそりひっくり返す新機軸を提示。淡々と吐き出すような歌唱、Y2K特有の不穏さを取り込んだサウンドメイキングーードレイクやSZAといった海外勢に楽曲提供するDAHIを迎えた洒脱にして薄暗いそのアプローチは、藤井の風向きが明確に変容したと世間が得心するのに十分だった。
2018年の『球体』以来となる待望のオリジナルアルバム『OVER』のリリースを控える三浦大知も、先行曲にあたる「能動」が“ぶっ飛んでいる”として話題を呼んだ。構成の主軸となるしゃがれたラップがとにかく鮮烈で、かねて己を突き動かし続けてきた自身のエネルギーを際限なく暴発させたような凄みがあった。さらに次作の「Sheep」でも、盟友UTAと今までにない厳かなクリエイションに挑戦。繊細なファルセットが浮かんでは消えるエクスペリメンタルな本作を経て、来る『OVER』への期待が一層の高まりを見せたのは筆者だけではないだろう。
そして、向井太一。ベストアルバム『THE LAST』が発表されたあたりからそのタイトルを巡って様々な推察が行われていたが、昨年11月に行われたライブツアーの最終公演で“TAIL”と改名することが正式にアナウンスされた。あわせて解禁となったティーザー映像はブルーの光が目を引く近未来的な仕様で、彼が我々の想像を上回る壮大な青写真を描いているとおのずから確信させる。試金石となる新名義第一弾シングル「Fundus」のリリースまでいよいよあと少し。TAILが余程の決意で推し進めたであろう変化はきっと、2024年のジャパニーズR&Bシーンにも煌々たるトピックをもたらしてくれるに違いない。
※1:https://realsound.jp/2023/12/post-1530850.html
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