リアルサウンド連載「From Editors」第41回:『ポケモンコンシェルジュ』は個性を認め合う優しい物語
このコダックとピカチュウの交流は、ハリウッドで実写化された映画『名探偵ピカチュウ』(2019年)、もっと遡れば初代『ポケットモンスター』でのサトシやカスミたちの冒険も彷彿とさせました。また、『ポケモンコンシェルジュ』はポケモン同士のバトルではなく、あくまで“共に生きること”をテーマにしているため、戦うとしたらタイプ的な相性がよくなさそうなコダックとピカチュウが、なんの垣根もなく意気投合しているところも素敵でした。
固定概念や先入観にとらわれることなく、フラットに相手の良さを認めてあげることで、自然に手を取り合えたらいい。『ポケモンコンシェルジュ』は、隣国同士で戦争が起きている現代の国際社会や、攻撃的な言葉ばかりが飛び交うSNS上のタイムライン、他人からの評価に悩まされがちなストレス社会から、我々の心を解放させる物語になっていると感じました。境界線を感じさせない離島やWi-Fiも繋がらないデジタルデトックス的な設定、建前を一切必要としないスタッフ同士の会話なども、抜群に効いていたと思います。
もう1つだけ本作の魅力を紹介するとしたら、作品時間の短さ。1話が約15分しかなく、トータル4話を1時間ほどで観終わることができます。1日1話ずつゆっくり鑑賞していくのもよし、忙しい方は空き時間に一気見してしまうのもよし。堅苦しくなく、手頃に楽しめるという点でも、『ポケモンコンシェルジュ』は現代にフィットした優しい作品だと言えるでしょう。
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