Travis Japan、7人で手にして磨き続ける“本物”の輝き 『Road to Authenticity』初日公演レポ

Travis Japan、最新ツアー初日レポ

 Travis Japanにとってデビュー後2度目のツアーとなる『Travis Japan Concert Tour 2024 Road to Authenticity』が神奈川・横浜アリーナで開幕した。本稿では、1月4日昼公演の模様をお伝えする(以下、曲名や演出といった公演内容のネタバレを含むため、今後ツアーに参加予定の方はご注意いただきたい)。

 12月20日には、1stアルバム『Road to A』で初のCDリリースを果たしたTravis Japan。アルバムタイトルの“A”に込められた意味のひとつである“Authenticity”=信憑性、信頼性、真正性、本物/真実であること。この言葉を掲げた今回のツアーは、そのタイトルからもエンタメに対するまっすぐな姿勢や熱い想いが読み取れる。彼らの目指す“本物”とは何なのか――開演前の会場は、初日特有の期待感と緊張感に包まれているようだったが、客電が消えモノクロのムービーがスクリーンに映し出されると、空気が一変した。

 激しいレーザーとビビッドな照明がメインステージを照らすなか、地上6.5メートルの高さの巨大なゴンドラに7人のシルエットが浮かび上がる。カラフルでゴージャスな衣装に身を包み、サングラスをかけた彼らの姿を認めると大きな歓声が上がる。「横アリ、騒げ!」のシャウトで始まったオープニングナンバーは「DRIVIN' ME CRAZY」。曲中にサングラスを投げ捨て、ゴンドラからメインステージに飛び降りる演出はさながら映画のワンシーンのようで、会場をさらに熱狂させる。

 爆発的な熱狂をそのままに「夢のHollywood」の英詞ver.である「My Dreamy Hollywood」、さらにデビュー曲「JUST DANCE」と畳みかけ、高いダンス力を見せつける。ムービングステージで披露された「Unique Tigers」ではアイドルらしい表情で個々のチャーミングな一面を示し、コールや手拍子でファンとひとつとなる。「Okie Dokie!」では、360度ファンに囲まれ踊る彼らの弾けるような笑顔が印象的だった。さらにメンバー紹介を兼ねた「REMIX DANCE NUMBER」では、お茶目な素顔を垣間見せながら、高いスキルのソロダンスを披露し、怒涛のステージを展開していく。

 ゴールドのスーツに着替え、再度メンバーがメインステージへ登場。群舞の美しさが際立つ「Swing My Way」、タップダンスと電飾付きステッキのパフォーマンスで魅せた「夢のHollywood」と、ゴージャスなショーが続く。ステージ上段からスロープになったLEDパネルを滑り降りる演出で客席を沸かせ、続く「Seasons of Gold」では、壮大なサウンドをバックにソロボーカル、コーラスが美しく重なっていく。ムービングステージの縁に腰掛けながらリラックスした雰囲気で歌われた「So Sunday」、伸びやかなダンス&ボーカルで聴かせた「Still on a journey」と高い歌唱力が発揮される楽曲が続く。そして、虎をモチーフとしたトロッコ、通称“トラッコ”がメンバーカラーの装飾を施して登場し、「Keep On Smiling」を歌いながら7人はアリーナを駆け巡る。2階スタンドまで上がり、「Charging!」「Talk it! Make it!」をパフォーマンス。会場の隅々にまで目を配り、ファンとのコミュニケーションを楽しむ姿が見られた。

 MCコーナーは、アットホームな空気感で楽しいトークが繰り広げられた。ツアー初日に際しお披露目されたのは、松田元太によって今年の抱負が書かれた大きなパネル。松田が幕を開けると、そこには「周」と見事な文字が記されている。“ツアー完走”という意味はもちろん、Travis Japanとして世界中さまざまな場所で夢を叶えられたら、という思いを込めたものだと説明されると、客席からは大きな拍手が起こった。また元日に起こった令和6年能登半島地震についても触れ、ツアーふたつ目の場所として1月13日・14日に行われるはずだった新潟公演の中止と、今後の振替公演実施の可能性を模索していること、ライブ会場に募金箱が置かれていることを伝える。「可能な限り、みなさんにエンタメを届けていきたいと思っていますので、今年も一年よろしくお願いします!」と決意を新たにした。

 ステージ上では記者会見も実施された。今年の抱負を聞かれると、個性あふれる回答が飛び出していく。宮近海斗は「仕事初めがコンサートで始まるというのは、なかなか経験できることじゃない。このありがたみを胸にいろいろな場所をまわって、今年は仕事納めもコンサートでいたいなと思います」と気合いは十分の様子。吉澤閑也は「振付けをいっぱいしたい。Travis Japanもそうですけど、ジュニアの子たちにも振付けとか、いろいろできたらいいな」と笑顔を見せる。七五三掛龍也が「今年は辰年――僕も“龍也”という名前なので、グループのやりたいことや自分のやりたいことが叶う年になるといいなと思ってます」「Diorのアンバサダーがやりたいです!」と野望を語ると、メンバーからは「やってほしい!」「ぴったり!」と口々に同意の声が。2023年はさまざまな経験をしたという松田は、「今年もいろんな経験をさせていただきたい。視野広く、楽しくファンのみんなとやっていけたらいいなと思っています」と展望を語る。中村海人は「健康に過ごせられればいいなと思います。本当に体が基本……資本だから!」と、メンバーからの指摘を受けて笑いを取りながらも、タフなパフォーマンスを見せるという彼らしい目標を掲げた。松倉海斗はグループとしてファンと会う機会を増やしたいとしつつ、「個人としては個展をやってみたい。趣味で写真を撮っていたり、アクリルアートを始めたので、みなさんに見ていただける機会を作りたいです」とアーティスティックな一面を見せた。

 今回のツアー演出を手掛ける川島如恵留は、「7人でコンサートを作るのがすごく楽しい。だからいろいろなコンサートを作りたいです」「個人としては今年もまた資格を取りたいです。今年は総合旅行業務取扱管理者を取ろうと。これに合格すれば“ワールドツアー”が組めるんですよ!」「Travis Japanのチケット、ホテル、航空券……とセットで安全なパッケージでお届けできたら!」と捲し立てると、メンバーは「どうなってるの!?」「マネージャーよりマネージャーみたい!」と圧倒された様子。7人それぞれがグループとしても個人としても精力的に活動すべく、ユニークな展望を持っているようだ。最後は7人で書初めパネルの「周」を囲み、宮近が「2024年もファンのみんなとTravis Japanと共にいろんなところをまわって、周りのみんなを幸せにしちゃうグループでいちゃってもいいですか!?」と問いかけると、ファンからの「賛成!」コールが会場に響き渡った。

 続いてのブロックは、ユニット曲を中心に個々の能力や個性、そしてメンバー同士の結びつきが強く反映されたステージとなった。“松松コンビ”の松田と松倉がふたりで作詞作曲した「Bro :)」は、ファンに見守られながら徒歩でセンターステージに向かい、お互いの顔を見つめながらギター弾き語りで歌唱。ギターを弾く姿はファンの前では初披露だという松田は、序盤には少し緊張した様子も見えたが、徐々にふたりで笑顔を交わすような場面も。スクリーンに映し出された彼らの写真や、互いの絆を歌い上げた歌詞はもちろんのこと、歌声の相性のよさに心を揺さぶられた人も多かったのではないだろうか。

 宮近と川島による「Day Off」は、直筆のリリックがスクリーンに映し出された。内省的でもあり、清々しさや生命のシンプルな美しさを感じさせる歌詞をじっくりと噛みしめられる演出に加え、ムービングステージで繰り広げられるふたりのコンテンポラリーな表現や程よい抜け感のあるダンス、ハーモニーの美しさと見どころが尽きない一曲だ。メインステージ全体を広く使い、ダンススキルをもってアーティスティックな魅力を開花させたのは、中村、七五三掛、吉澤の3人。映像とリンクさせた妖艶なソロダンスに加え、ダイナミックで原始的な群舞も美しい。「Paranoia」という楽曲が持つ多面的な魅力を最大限に引き出したステージだった。

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