なとり、自分と対峙し続けたアルバム『劇場』 新曲から考えるシンガーソングライターとしての魅力

なとり、アルバム『劇場』レビュー

 では、アルバム『劇場』の収録曲から新曲をピックアップしていこう。

なとり - 1st Album 『劇場』 全曲Teaser

 アルバムの幕を上げるのはビックバンドジャズのアレンジを取り入れた「劇場」という曲だ。スリリングなビートで進行するアップテンポな1曲でホーンアレンジも王道だが、冒頭や途中に“ゴホッ”と咳こむボイスを入れるなど、アレンジの抜きをうまくフックにする演出はさすがである。序盤から見事なボーカルコントロールを見せるなとりの歌にも注目だ。元々ちょっと気だるげな低音が武器ではあったが、この1年でその武器を意識して強化した印象があり、1曲目から低音と高音の鮮やかなコントラストが楽曲に華を添えている。

 弾き語り生配信ですでに定番の「夜の歯車」は、ギターのアルペジオとなとりの柔らかいハミングから始まるミディアムバラード。他の曲に比べて譜割りがシンプルで、メロディもストレートだ。その分、なとりの作り出す旋律には多彩なパターンがあることがわかる。ロマンチックなメロディが魅力のこの曲では、中高音からファルセットにスムースに移行する、なとりのボーカルテクニックも聴きどころだ。

 「ラブソング」で注目したいのは、サビのコード進行と、ボーカルアプローチで楽曲にストーリー性を持たせているところ。前半は言葉の発音や歌い方がかなり丁寧で、一音の中でスッと喉を閉じるようにして揺らぎを作る得意のニュアンスも出てこない。後半に向け前述したニュアンスを徐々に解禁していき、揺らぎが出てくることで、楽曲に表情が加えられていく。「ターミナル」は、イントロでエレクトリックブギーかと思ったら、サビの後半にドメスティックなメロディを挟み込んできたりと、なとりの曲作りに対する自由度が発揮された1曲。バウンシーで軽やかなグルーヴも気持ちいい。

なとり - ターミナル(Demo)(Lyric&Concept Video)

 2024年春には、バンド形態で初の東阪ワンマンライブも決定している。いよいよベールを脱いだ、なとり。その第一幕がもうすぐ上がる。

■リリース情報
なとり 1st Album『劇場』
2023年12月20日 Release
Streaming / DL : https://natori.lnk.to/gekijo
アルバム特設サイト:https://natori-theater.com

【完全生産限定盤】ジャケットアートボード+ブックレット+オリジナルトランプ+CD
価格:¥5,500(税込)

<収録曲>
1.劇場 
2.食卓
3.猿芝居 
4.Overdose
5.フライデー・ナイト  (Spotifyブランド CMソング)
6.Sleepwalk 
7.金木犀 
8.夜の歯車
9.エウレカ
10.Cult.
11.ラブソング
12.ターミナル
13.カーテンコール 

■ライブ情報
『なとり 1st ONE-MAN LIVE 「劇場」』
【日程・会場】
2024年3月29日(金) 開場18:00 / 開演 19:00
東京 Zepp Haneda(TOKYO)
お問い合わせ:SMEライブクリエイティブグループ SME.Inquiry@sonymusic.co.jp

2024年4月5日(金) 開場 18:00 / 開演 19:00
大阪 Zepp Osaka Bayside
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日・土曜 11:00~18:00)

※開場/開演時間は変更となる場合がございます。

【チケット代金】
1F全自由(一般) 5,500円(税込/ドリンク代別/整理番号付き)
1F全自由(U-22割) 5,000円(税込/ドリンク代別/整理番号付き) 
2F指定席 5,500円(税込/ドリンク代別)

“なとり”1st Album『劇場』購入者限定 チケット最速先行受付(抽選)
※「劇場」に封入されているシリアルナンバーを使用してご応募ください。
※1F 全自由のみの受付となります。
【受付期間】2023年12月20日(水)18:00~2024年1月10日(水)23:59
【当落発表/入金締切】2024年1月16日(火)12:00~2024年1月19日(金)23:59
申込みはこちら⇒ https://stagecrowd.live/s/sc/ticket_event/detail/t10034?ima=1950

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