竹内まりや、Travis Japan、sumika、なとり、yama、AI……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は竹内まりや「君の居場所(Have a Good Time Here)」、Travis Japan「Okie Dokie!」、sumika「シュガーソルト」、なとり「ターミナル」、yama「沫雪」、AI「ワレバ」の6作品をピックアップした。(編集部)

竹内まりや「君の居場所(Have a Good Time Here)」

 『ポケモンコンシェルジュ』(Netflix)主題歌として書き下ろされた新曲。サルサ、サンバ、カリプソなどラテンミュージックの雰囲気をたっぷり注ぎ込んだサウンド、そして、聴く人の気持ちを優しく包み込んだ後、大らかに解放してくれるようなメロディ。一聴して竹内まりやだとわかる“いつも通り”感と、“こんなにトロピカルな彼女の曲は初めてかも”という新しさがバランスよく共存している。“本当の自分らしさとは?”という問いかけを含んだ歌詞は、常に比較され、競争を強いられる現代人の心にしっかりと寄り添ってくれるはず。“大衆のための音楽とはどうあるべきか?”を考え尽くし、的確なスキルによって形にしたポップスのお手本のような楽曲だと思う。(森)

竹内まりや - 君の居場所 (Have a Good Time Here) Edited Version (Official Music Video)

Travis Japan「Okie Dokie!」

Travis Japan - 'Okie Dokie!' Music Video

 昨年デビューした7人組ボーイズグループ、Travis Japanの1stアルバム『Road to A』より。全編英語詞だが、これだけで「トレンドを意識したK-POP寄りのアプローチ」みたいなものを想像するなかれ。LAで修行を積み、米国レーベルとも契約済みのTravis Japanには、アジアの片隅から気を吐くハングリー精神ではなく、世界の中心を見据えてにっこり笑うくらいの余裕がすでに備わっている。ベースはファンクやソウルだが、暑苦しすぎず、いつ聴いても人の心を自然に弾ませる、理想的な温度のダンスポップチューンである。作曲はLA在住のShintaro Yasudaと原田卓也。前者はアリアナ・グランデやLE SSERAFIMの制作にも関わるヒットプロデューサーだ。(石井)

sumika「シュガーソルト」

sumika「シュガーソルト」

 ゴスペル風のコーラスによって奏でられるのは〈What’s a wonderful,beatufiul World〉というフレーズ。sumikaの新曲「シュガーソルト」は今年1年を締めくくり、より良い明日への願いを新たにできるアンセミックな楽曲だ。“ZIP-FM 30th ANNIVERSARY SONG”として書き下ろされたこの曲は、大らかなグルーヴと開放的な旋律を軸にしたミディアムチューン。思うようにはいかない日々、自分のことを大切にしてくれる人たちへの思いを描きながら、優しくて温かい人と人との関係、そして、未来へのポジティブなイメージがしっかりと伝わってくる。思いもよらないことが起き続け、ときに絶望に苛まれたとしても、それでも僕らは進んでいかなければいけない。味わい深さと前向きなパワーを同時に与えてくれる、新たな名曲の誕生である。(森)

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