矢沢永吉が日本武道館に刻んだ新たな伝説 1年越し達成の150回目公演に「男として最高だよ」

 「懐かしいナンバー行きます、ヨロシク!」とCAROLの「憎いあの娘」を投下し、会場のボルテージをこれでもかというほど上げていく。さらに「ウィスキー・コーク」、そして矢沢がアコースティックギターを手にしただけで、「待ってました!」と言わんばかりに場内が湧き上がった「チャイナタウン」と、70年代のナンバーを続けざまに歌った。

 これまでの軌跡というべき映像がバックスクリーンに流れた後は、ガイ・アリソン(Key)のダイナミックなピアノに導かれるように「Anytime Woman」へ。陽気なロックンロールのビートが武道館を揺らし、「自分の曲なんですけど、この曲は“聴きたい”とステージでやるのは遠ざかってた」という「ニューグランドホテル」をムーディーに歌い上げた。

 バンドメンバーを一人ひとり丁寧に紹介。パーカッションの桑迫陽一、湯本スーパーホーンセクションを加えたフルバンドで贈られたのはCAROLのナンバー「カモン・ベイビー」。初の武道館(1977年8月26日)、100回目の武道館(2007年12月16日)のオープニングを飾った曲だ。あの時よりもゴージャスなアレンジで、あの時よりも貫禄たっぷり、余裕たっぷりに歌いきった。本編ラストは「WITHOUT YOU」。「ありがとー! 帰りに美味いビールを飲んでね!」と嬉しそうに矢沢はステージを降りた。

 鳴り止まぬ“永ちゃん”コールに迎えられたアンコール。お馴染みの真っ白なスーツとパナマハット姿で登場した矢沢が送るのは、「止まらないHa~Ha」。無数のタオルと大歓声、歌声が武道館の宙を舞った。その熱気を受けての放たれた銀テープが舞った「トラベリン・バス」。間奏で巻き起こる“永ちゃん”コールを受け、満足げな表情で客席を見渡す矢沢。「カモン! ヘイ!」と歓声が戻ってきた喜びを味わうように何度もコールアンドレスポンスを繰り返した。もし予定通り昨年150回目の武道館が開催されていたら、この光景は見られなかっただろう。

 そうしたオーディエンス、ファンへの感謝をこめて最後の最後に贈られたのは「I AM」。優しい歌声が武道館にいる全員の心に響いた。

 『EIKICHI YAZAWA CONCERT TOUR 2023「Welcome to Rock'n'Roll」』はクリスマスイブのツアーファイナル、横浜アリーナ公演まで続く。もちろん、矢沢永吉が作る伝説もまだまだ続いていく。

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