s**t kingz NOPPO、ジリアン・マイヤーズと語り合うダンスの可能性 初ソロ演出公演で見せる“距離”
ダンスによって“距離”をポジティブに見せられる
――テーマ曲「GOOFY」も聴かせていただきました。植松陽介さん、高橋あず美さんが手掛けていますが、NOPPOさんからはどんなリクエストをしたのでしょうか。
NOPPO:「こんな感じにしたい」という要望からリファレンスした曲、使いたい言葉など、とにかくとんでもない量のメモを送りました(笑)。(スマートフォン本体よりも長いジェスチャーをしながら)LINEにするとこのくらいになっていたと思います。それをお二人が素敵な音楽にしてくれて。植松さんも「いい曲ができて、まずは一安心だ」と自画自賛していたくらい。最初は2人それぞれ独立したハミングから始まるのですが、それがだんだん織り混ざっていったり、心臓音のような音が入っていたり、舞台の流れそのものになり得そうな楽曲ですよね。心の弦に響く良い楽曲ができたと思います。
Jillian:この曲は、聴く度にすごく好きになる曲。初めて聴いた時も、とても美しいと感じました。
NOPPO:今回は日本語で作っていますが、僕らが日本語と英語で会話してるのでゆくゆくは英語と日本語を混ぜたバージョンも作りたいんですよね。本当に面白い楽曲なんですよ。ふざけようと思えばふざけられるのに、しっかり聴くとジーンと心に染みる。絶妙な曲を作ってもらいました。
――この楽曲を使ってできあがる舞台には、お二人のどんな化学反応が見えそうですか?
NOPPO:二人のサイズも距離感も凸凹だけど表現する中で喜びとか気づきとか、なにか温かな化学反応が生まれるといいなと思っています。でも感じ方もさまざまだと思うので、観ていただいたお客さんに聞きたいくらい!
――(笑)。昨今だと人との距離感や物の見方の違いから言い合いになることも少なくないですよね。でも、この公演の説明文にはプラスのことばかり書かれているので、それがお二人らしいとも感じました。
Jillian:その視点、すごく好き!
NOPPO:たしかにそうかも。コロナ禍があってちょっと咳をしただけで距離を置きたくなるということもありましたし、距離に敏感になっていた時期がありましたからね。この舞台ではダンスによって距離というものをポジティブに見せられるのかもしれません。
Jillian:距離感はミスコミュニケーションに発展する可能性もあるけど、例えば「Crab」と「Cramp」を聴き間違えるというような感じで、面白いものが生まれることもありますよね。この舞台にもその感覚が出るといいなと思っています。
NOPPO:その通り。だから「マヌケ」と名付けたのかもしれない。まさに楽しく観てもらいたいんですよ。まだ決まっていないことも多いのですが、オムニバスのアルバムを聴くような舞台になると思っていて。お客さんはそれから何を感じたか、ぜひ僕に教えてほしいです。
――楽しみです。そしてお二人とも普段、本当に幅広いお仕事をされていらっしゃいますが、お互いの仕事に対する印象を教えてください。
NOPPO:ひと言で言うと「大尊敬」。何でもできる人ですし、いろんなジャンルが踊れて、いろんな振り付け、表現もできる。それがすごい。Jillianは「なに、この振り付け!?」というような、本当に見たことがないことをするんですよ。最近ではhalf・aliveというアーティストの振り付けもしていて。彼らはUKだったっけ?
Jillian:違う、違う。カリフォルニアのバンド。すごく面白いの。NOPPO、友だちになれるよ!
NOPPO:本当!? そのhalf・aliveの「Subliminal」の振り付けも見たことがないようなものだったんです。しかも、カメラアングルも監督と一緒に考えているらしいんですね。ただ踊りを見せるだけじゃなくて、見せ方の塩梅や引き算もできるのがすごいですよね。half・aliveは不思議な踊りをするアーティストで有名なのですが、Jillianは次々に新しいものを出しているんです。ペアダンスをしていたHozierの「Work Song」もそう。あれって、アーティストさんから依頼があって振り付けしたの?
Jillian:ううん。私の中にライブパフォーマンス用のアイデアがあって、「こういうのはどうですか?」って勝手に映像を作ってSNSにアップしたの。そうしたら本人の目に止まったんです。ライブパフォーマンスとしては実現しなかったけど、ミュージックビデオとして採用してもらいました。
NOPPO:Jillianって、こうやって0から1を生み出すんです。アーティスト自身がやりたくなるものを作るってすごくないですか? かと思えば、『ラ・ラ・ランド』のように王道も走れる。教科書に載せたほうがいいですよね(笑)。
――間違いないです(笑)。JillianさんはNOPPOさんのお仕事を見ていていかがですか?
Jillian:初めてダンスをしているところを見た時から感じていましたが、NOPPOのダンスはプレゼントをもらった時のような高揚感や嬉しさを覚えるんです。クリスマスみたいな気分になるというか。頭ではどんな動きをしているかわかるのに、何が起きているか理解できない時があるんです。まさにマジック! ソロの作品でも、s**t kingzの作品でも、すごく面白いアイデアを持っていて、見た後に気分が良くなるんですよね。心に残るものがある。だからすごく尊敬しています。
――MONDO GROSSOの作品に関わっているのも共通点ですよね(NOPPOは「IN THIS WORLD」、Jillianは「ラビリンス」。ともに満島ひかりがボーカルを務め、MVに出演)。
NOPPO:そうですね。僕がJillianの作品を見たのはOguriから教えてもらってだったかな。ああいった撮影って、時間がない中でどれだけ演者に自分の振り付けのこだわりを伝えるのか、お任せするのかって悩む部分があると思うんですよ。しかも、Jillianの振りって難しいですし。撮影で歩く道の幅など、現地に行かないとわからないことも多い中、あれを作り上げられるのはすごいです。もちろん満島ひかりさんのポテンシャルもありますが、Jillianの大きな器と判断力を感じました。あとは、振り付け全体でいうと、イントロからアウトロまでの波を作るのがすごく上手。音楽を俯瞰して全体で捉えているのが伝わってきました。
Jillian:たしかに時間はあまりなかったですね。事前に振り付けを作って送っていたのですが、演者の方、スタッフの方とは本番で初めてお会いしました。すでに満島さんが解釈してくれていた私の振りを軽く練習しただけで撮影に臨む形だったので、想定していた流れとは異なる部分もあり、大変ではありましたが、満島さんとのコラボはすごく楽しめました。
――では最後に舞台への意気込みをお願いします。
NOPPO:こういう機会がなければ一緒に踊ったり、作品を作ることができなかったと思うので、まずは快く引き受けてくれたJillianに感謝です。初NOPPOの方も、そうでない方も楽しめるような“マヌケ”な公演を作りますので、ぜひ観に来てください!
Jillian:レイヤーがあるショーになると思うので、楽しい気持ちはもちろん、いろんな感情を経験してほしいです。何が起こるかわからない緊張感と、「どう観たらいいんだろう」という戸惑いなども含めて楽しめると思います。そして、私たち自身も、お互いの今まで見たことがない側面をステージ上で見られたらいいな、と。それがオーディエンスにも伝わると嬉しいです。
■公演概要
『GOOFY〜マヌケな2人の間で〜』
作・演出・振付・出演:NOPPO(s**t kingz)
振付・出演:Jillian Meyers
音楽・出演:植松陽介 / 高橋あず美
主催:キョードー横浜
共催:横浜赤レンガ倉庫1号館(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
企画制作:アミューズ
チケット料金
9,500円(税込)
※全席指定 ※3歳以下入場不可/4歳以上チケット必要
会場
横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホール
公演スケジュール
2024年
4月27日(土)
開場 16:15 / 開演 17:00
4月28日(日)
開場 12:45 / 開演 13:30
開場 16:15 / 開演 17:00
4月29日(月・祝)
開場 12:45 / 開演 13:30
開場 16:15 / 開演 17:00
5月1日(水)
開場 18:15 / 開演 19:00
5月2日(木)
開場 18:15 / 開演 19:00
5月3日(金・祝)
開場 12:45 / 開演 13:30
開場 16:15 / 開演 17:00
5月4日(土・祝)
開場 12:45 / 開演 13:30
開場 16:15 / 開演 17:00
5月5日(日・祝)
開場 16:15 / 開演 17:00
5月6日(月・祝)
開場 12:45 / 開演 13:30
※上演時間:約90分予定(前後する場合がございますので予めご了承ください。)
一般発売日
2024年2月10日(土)
特設サイト
https://15th-stkgz.com/noppo_project/
お問い合わせ
キョードー横浜 TEL:045-671-9911(土・日・祝を除く 月〜金11:00〜15:00)