なにわ男子、6枚目シングル『I Wish』が首位　表題曲に感じるyouth caseの職人技

CD Chart Focus

参照：https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2023-11-27/

　2023年11月27日付（11月21日発表）のオリコン週間シングルランキングは、アナログレコードの売り上げのみでThe Beatlesの『Now and Then』が6位にチャートイン。そして1位になったのは、なにわ男子の『I Wish』でした。2021年のデビューシングル『初心LOVE』から約2年、早くも6枚目のシングルです。

　タイトルナンバーの「I Wish」は、道枝駿佑が出演するTBS系火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』の主題歌。冷ややかにして透明感のある、まさに冬を感じさせるキーボードの音色で幕を開け、やがてストリングスが響き、同時にドラムとベースによるリズムセクションも鳴りだします。歌が始まる直前に鳴るオルガンも鮮やかなアクセントになっています。

　Aメロ以降ではギターが前面に出ていき、同時に歌がスタート。オートチューンのかかったボーカルは少々意外でしたが、それでいて個々のメンバーの歌声の魅力を増幅させています。Bメロへの展開も新鮮で、そこからサビへと流れこんでいきます。このサビはかなり手堅く作っている印象を受けました。

　間奏も含めたサウンドのポイントとしては、ストリングスやオルガンの配し方、コーラスの挿入のタイミングが挙げられるでしょう。リズム自体はフラットなのですが、サウンドで常に起伏をつけていくあたりは、作詞作曲編曲（編曲はha-jとの共作）を担当したyouth caseの職人技を感じます。しかも、クリスマスなどの季節感も意識したであろうサウンドなのですから。

　youth caseは、なにわ男子のほか、嵐やKing & Princeなどの楽曲でも知られていますが、乃木坂46の「I see...」の作曲者だと言うと、「あの人か」とわかる人も多いのではないでしょうか。今、その「I see...」のMVを確認したところ、すでに3000万回再生を超えていますし。「I see...」のようなソウルミュージックも作れるyouth caseが、そうした要素や、この時代ならではの音を、なにわ男子の「I Wish」では封印しているのも特徴的です。歌詞も含めて、ドラマ主題歌ならではの世界観を全方位的にパッケージしているのが「I Wish」だと言えるでしょう。