Kroiとnobodyknows+、会場の興奮を引き出し合った激アツ対バン 『"Dig the Deep" Vol.4』東京公演

Kroi×nobodyknows+対バンレポ

 Kroiが対バンツアー『Kroi Live Tour "Dig the Deep" Vol.4』の東京公演を開催した(11月12日東京・Zepp Haneda (TOKYO))。『Dig the Deep』はKroiが活動スタート当初から行っている自主企画の対バンライブ。約2年ぶりの開催となる今回は、全7公演の全国ツアーとなり、ゲストとしてTempalay、OKAMOTO'S、nobodyknows+、Nulbarich、Bialystocks、Ovall、クリープハイプが出演する。東京公演の対バン相手は、nobodyknows+だ。

 1999年に結成されたnobodyknows+。昨年6月、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で代表曲「ココロオドル」を披露したことをきっかけに注目を集め、11月にはベストアルバム『ALL TIME BEST』をリリース。各地のフェスやイベントに出演するなど、25周年を直前に再ブレイクを果たした。

 低音をバキバキに効かせたDJ MITSUのビートとともに登場したのは、ホクロマン半ライス!!!とノリ・ダ・ファンキーシビレサス。オープニング曲「オヒサシブリ」を放ち、オーディエンスは手を挙げて応える。さらにCrystal Boy、ヤス一番?が登場し、個性溢れるラップを披露。「盛り上がっていこうぜ!」(ホクロマン)という声とともに「ススミダス→」、さらにアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』OPテーマとして知られる「Hero's Come Back!!」と代表曲を連発。「Let's Dance」ではノリがホクロマンにコブラツイストをかけたり(ノリは元プロレスラー)、「ワサワサ」ではサビのフレーズ“ワサワサ”でコール&レスポンスが発生するなどフロアを沸かせまくる。四半世紀に迫るキャリアは伊達じゃない。

 ノリによる漫談風(?)の長めのMCを挟み、ライブは後半へ。ラテンを取り入れた「エルミラドール」の後は、待ってました!の「ココロオドル」。〈ENJOY 音楽は鳴り続ける〉というキラーフレーズによって会場のテンションはさらに上がり、そのままリミックスバージョンへ。エレクトロ系の強靭なビートが鳴り響き、会場全体がダンスフロアへと変貌する。(2階席で観ていたKroiのメンバーもめっちゃ盛り上がってました)

 さらに彼らの地元・今池(名古屋市)にちなんだ「イマイケサンバ」、切なさと前向きな思いが交差するラブソング「愛のテーマ」などを披露。“初めまして”のオーディエンスをもガッツリ盛り上げる、さすがのステージだった。

 そしてKroiのステージ。1曲目は新曲「Hyper」(TVアニメ『アンダーニンジャ』OPテーマ)。グランジロックとファンクがぶつかり合うバンドサウンド、内田怜央(Vo)の攻撃的なボーカル/ラップが放たれ、会場の熱気は一瞬にして頂点へ。「みなさん調子どうですか! Kroiちゃん、はじめます!」(内田)というシャウトに導かれたのは、バンドを代表する一曲となったしなやかなファンクチューン「Balmy Life」。フロアからはハンドクラップが鳴り響き、一体感がさらにアップ。千葉大樹(Key)のトーキング・モジュレーターによるコーラスも気持ちいい。そのまま音を途切らすことなく、フュージョン的なテイストを反映させた「Network」(長谷部悠生(Gt)のギターソロが炸裂!)、内田のギターリフに導かれたダンスチューン「HORN」と自由自在にサウンドの色を変えながら楽曲をつないでいく。関将典(Ba)、益田英知(Dr)のリズムの精度が素晴らしく、演奏自体もめちゃくちゃタイト。このバンドの音楽的ポテンシャルは明らかに上がっている。

 「『Dig the Deep』3公演目です。今日のゲストは、nobodyknows+さん。ヤバい!」(内田)から最初のMCへ。内田は「小学生のときにnobodyknows+のライブDVDにハマった」というエピソードを披露し、「そんなアーティストが俺らの企画でライブをやってくれるなんて、本当にヤバい。(nobodyknows+)のライブでブチ上がっちゃったんで、俺もブチ上げたいと思います」という言葉から、「Mr. Foundation」。ベース、ドラム、鍵盤のセッションから始まり、ハンドマイクの内田が軽快なフロウを描き出す。鍵盤、ギターのソロ演奏が共鳴し、内田のテンションも増幅。身体を揺らすオーディエンスもKroiの自由なパフォーマンスをしっかりと楽しんでいた。

 益田による抑制の効いたドラムソロを挟み、「Funky GUNSLINGER」でサイケデリックな音像を生み出す。跳ねるビートとラップの絡みを軸にした「shift command」では長谷部がステージ前方でギターソロを弾きまくり(9月にアキレス腱を切ってしまった長谷部、だいぶ回復したようです)、「夜明け」では疾走感に貫かれたビートのなかでメンバー全員のフレーズが有機的に結びつき、シックなベースソロ、鍵盤ソロを挟みながら〈もうじき朝が来る 正直一睡もしてない〉というサビの大合唱へと帰結。どの曲にもアレンジが加えられ、生のステージならではのパフォーマンスが繰り広げられる。その場で思いついたであろうフレーズをぶち込むシーンも見受けられるが、それが内向きな自己満足に終わらず、ライブにおけるエンターテイメントに昇華できるのがKroiの強み。それを支えているのはメンバー個々のキャラの強さ、そして、“とにかくこの瞬間を楽しみまくる”という態度だろう。

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