KALMA、バンドとしての覚醒を語る 自由自在なメロディで鳴らした“本当にやりたかった音楽”

KALMA、バンドの覚醒

「“いい子ちゃん”をやめて、歌いたい言葉を全部入れた」

――そうやって自分たちにとってもハードルが上がってるわけじゃないですか。それがすごく大事なことだと思うんですよね。さっきのリフの話にも通じますけど、楽しくライブでやれたらいいな、みたいなレベルじゃないところで音楽をやっている感じがする。

畑山:「この曲はライブで絶対に盛り上がるな」とか作りながら思うし、ライブバンドとしてライブで盛り上がる曲を作りたいっていうのはあるけど……11月からワンマンツアーがあるんですけど、僕は今までで一番「体力もつかな」とか「喉もつかな」っていう心配があるんです。今までもキーの高い曲はあったんですけど、前は高い部分があったら、その後は休むタームを自分で設けたりしていたんですよ。でも、今回はおいしいメロが何個も続くから休む暇がないんです。

――でもそれを自分で選んだっていうことですよね。

畑山:そうですね。そこまでして、出したかったですね。

――今までは、メロだけじゃなく演奏やアレンジもそうだと思うんですけど、ライブっていうのが基準としてあって、そこでちゃんとできるかどうかがすごく大きかったんだと思うんです。だからその上にはやっぱり行きたくても行かなかったっていうか、セーブしていたんだと思うんですよ。その天井を今回は取っ払っちゃったっていうことなのかなって。

畑山:それは絶対あります。そこはコロナ禍が明けたりして、また前みたいなライブハウスが戻ってきたっていうのもあると思うんです。本当に僕たちがやりたい音楽って、このミニアルバムな気がするんですよ。でも僕らはデビュータイミングが完全にコロナ禍だったし、2020年や2021年にこのアルバムを出したかったかと言われたらたぶん違ったんです。今、ライブハウスでみんなでワーッてもみくちゃになれるようになったからこそ、そっちに行けたんじゃないかなって。

――そうですね。『ミレニアム・ヒーロー』というアルバムはそのコロナ禍も含めて、当時のKALMAの置かれた状況に対する真摯なアンサーだったと思うんですよ。そこから『NO BORDER』で1回全部壊して。あそこで本当に自分たちの鳴らしたい音に向き合ったからこそ、今ここに辿り着けたというのもありますよね。

畑山:本当に『NO BORDER』の存在はデカいですね。今言っていただいた通り、今までは、言い方が違うかもしれないけど、すごい「いい子ちゃん」になろうとしてたのかもしれない。無意識だけど絶対にあったなって思うのは、「メジャーデビューしました」ってなったら、やっぱり「いい曲作らなきゃいけない」って思っていたんですよ。で、いい曲っていうのは大体ミドルとかバラードだなって思ってたんで、全部そういうテンポ感じゃなきゃダメなのかもとか思ったりして。だからこそいい曲を作れたというのもあるけど、それが本当にやりたかったことなのかなっていうのも思って。それがちょっとずつコロナ禍が収束してきて、『NO BORDER』を作る中で吹っ切れて「いい子ちゃんやめようぜ」ってなれたのかなって思います。

金田:未熟なままデビューをしたというのもあったかもしれません。でもそこで『ミレニアム・ヒーロー』を出したからこそ、こういうアルバムができたっていうか。ただ荒々しいだけじゃないKALMAを残しつつ、自分たちのやりたいことを100%出すことができたんじゃないかなと思います。

金田竜也
金田竜也

――その、やりたいことをやる、正直に自分たちの音楽をやるっていうのが今作の肝だなと思っていて。歌詞も本当にそうだなと思ったんですよ。着飾ったり格好つけたりっていうのがなくなりましたね。

畑山:そうですね。今回はかなり吹っ切れてますね。僕は歌詞を書くのが本当に苦手で、歌詞を書くのが怖いから曲作りたくないっていう時期もあったんですよ。メロディを作るのはこんなに好きなのに、歌詞書くのがこんなに嫌いならいっそ曲を作るのやめたいなと思ってたけど、でも作りたいし。それもさっき言ったように、「いい子ちゃん」でいようとか「いい言葉を言おう」とかがありすぎてたんですよ。今回はそれなしで、本当に自分が歌いたいメロディにハメたい言葉を1回全部入れて、それをメンバーやスタッフさんに提案したら「それがいい」ってなって。かなり自由にやれた感じがすごくあります。

――あと、たとえば「アローン」や「意味のないラブソング」みたいな失恋の歌もあまり書いてこなかったと思うんですけど、それも解禁しています。

畑山:そうですね。でも失恋ソングとかラブソングって一番多い歌じゃないですか。それと同じようにはしたくなかったんで、一味違う感じで書きましたね。

――そうですよね。寂しいとか悲しいっていう気持ちもそうだし、逆に「モーニングラブ」みたいな「好き!」っていう気持ちが、すごく素朴に溢れていて。ある意味で、歌詞にしようとしていないのがすごく気持ちいいなと思いました。

畑山:本当にそう思います。「ムソウ」とかは1日で書いたんですよ。

金田:悠月は歌詞を出すまでに結構時間がかかるんです。なかなか出てこないときは(レコーディングの)スケジュールを変更することもあるんですけど、「ムソウ」はスタジオでセッションで作って、メロディもできて、そしたら次の日に歌詞を全部書いてきたんですよ。それが直しなしで全部OKになって。だから「できるじゃん」みたいな話になったんですよね。「なのになんで他の曲はやらなかったんだ」って。そしたら「これは書きやすかったから」って言ってましたけど。これを書いてきたときは鳥肌が立ちました。

畑山:たぶん、今回のミニアルバムで唯一バンドのことを歌ってる曲だから、書きやすかったんだと思う。書きたいことが明確にあったんですよ。今年23歳になるし、バンド8年目で、「今が一番いいよね」とか「今回のアルバムが一番いいよね」って毎回言ってるやん、とか。でもそれが一番いいことだし、僕らがやってることが合っているかはわからないけど、間違ってはないよねみたいな。そういうことを全部なんとなく感じていた時期ではあったので、すぐ書けましたね。

金田:できたときヤバかったよね。

斉藤:みんな感動してた気がする。

金田:ワーッて昂って、衝動のままにレコーディングしたから、1〜2テイクでリズムもできたし。よくできたなって感じですよね。でも、たぶんちゃんと考え込んで作ってたらできてなかったと思います。あのとき、あの一瞬だったからこその曲かなって。

畑山:そういうもんなんだよね。

――それが結果、今のKALMAのテーマソングみたいな曲になったという。

畑山:はい。僕らがやっていることは僕らの中では最高だなって思うけど、世間的にはまだ届いてないから。これ、いつも言ってるんですけど、ランナーが溜まってない状態で1番バッターの僕がホームランを自己満で打つんじゃなくて、ちゃんとみんなでヒットをつないで、満塁になったら4番KALMAでホームランを打ちたいんですよね。今はそのためのストーリーを作ってる最中。そういう形で売れるのが一番の理想です。

KALMA - ムソウ(Music Video)
KALMA 4th Mini Album『ムソウ』
KALMA『ムソウ』

■リリース情報
KALMA 4th Mini Album『ムソウ』
2023年10月18日(水)発売
・通常盤(CD):¥2,420(税込)
・VICTOR ONLINE STORE限定盤(CD+GOODS):¥4,950(税込)
※GOODS内容:KALMAオリジナルライブセット(マルシェバック / ラバーバンド / 缶バッジ / スタビホルダー)

配信リンク:https://jvcmusic.lnk.to/klm_musou
VICTOR ONLINE STORE:https://victor-store.jp/item/93842

<収録曲>
1.ABCDガール
2.モーニングラブ
3.デート!
4.アイス
5.夢見るコトダマ
6.アローン
7.意味のないラブソング
8.ムソウ

■ワンマンツアー情報
『KALMA one man tour 2023~2024「ムソウニナラス」』
●11月11日(土)仙台・CLUB JUNKBOX 開場17:30 / 開演18:00
問い合わせ:G.I.P https://www.gip-web.co.jp/t/info
●11月19日(日)静岡・LIVE HOUSE SHIZUOKA Sunash 開場17:30 / 開演18:00
問い合わせ:ジェイルハウス 052-936-6041(平日 11:00-15:00)
●11月22日(水)大阪・BIGCAT 開場18:00 / 開演19:00
問い合わせ:清水音泉 025-229-5000(火‧金 12:00-16:00)
●11月23日(木・祝)香川・高松DIME 開場17:30 / 開演18:00
問い合わせ:DUKE 087-822-2520(平日 11:00-17:00)
●12月2日(土)広島・Live space REED 開場17:30 / 開演18:00
問い合わせ:YUMEBANCHI(広島) 082-249-3571(平日 12:00-17:00)
●12月17日(日)金沢・GOLD CREEK 開場16:30 / 開演17:00
問い合わせ:FOB金沢 076-232-2424(平日 11:00-17:00)
●1月6日(土)福岡・BEATSTATION 開場17:30 / 開演18:00
問い合わせ:キョードー西日本 0570-09-2424(11:00-15:00(日祝以外))
●1月8日(月・祝)名古屋・THE BOTTOM LINE 開場17:00 / 開演18:00
問い合わせ:ジェイルハウス 052-936-6041(平日 11:00-15:00)
●1月13日(土)東京・Spotify O-EAST 開場17:00 / 開演18:00
問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日 12:00-15:00)
●1月28日(日)札幌・PENNY LANE 24  開場16:15 / 開演17:00
問い合わせ:マウントアライブ 050-3504-8700(平日 11:00-18:00)

<チケット詳細>
前売 4,000円(税込)※オールスタンディング / 整理番号付き/ 未就学児入場不可 / 全会場ドリンク代別途必要
一般発売中:https://l-tike.com/kalma/

KALMA Website

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