[Alexandros]、電気グルーヴ、羊文学、フレデリック……福島出身ライターが推す音楽フェス『LIVE AZUMA 2023』の魅力

『LIVE AZUMA 2023』の魅力

 これまでフェスに参加してきて見えてきたのは、福島ひいては東北出身のアーティストが絶妙な塩梅で出演していることだ。今年はOriginal Loveの田島貴男が、学生時代に郡山市に住んでいた意外な福島と馴染みのあるアーティストの一人。仙台在住のヒップホップアーティスト・GAGLEに、宮城県を代表するバンド・MONKEY MAJIK(以上、10月15日出演)が福島でそれぞれが信じる音を鳴らしてくれる。

 そして筆者はこの『LIVE AZUMA』に不思議な連続性/物語性を感じている。昨年に続いてSOIL&”PIMP”SESSIONSがAwichとの特別編成で出演することはその一つの例だが、昨年開催直前に出演ができなくなってしまった羊文学(10月14日出演)が今年はリベンジしてくれるのは嬉しいトピックだ。ニューアルバムの発売、来年には横浜アリーナでのライブも決定しているという、バンドとして勢いづいた中での出演となる。昨年はユニコーンとして大トリを飾り、「ありがとう、あづま!来年もやってくれ!」と叫んでいた奥田民生はバンドスタイルの「MTR&Y」で登場(昨年は東京スカパラダイスオーケストラ「美しく燃える森」でゲストボーカルとしてもステージに上がった)。Dragon AshのKjに呼び込まれ「Fantasista」で客演していたJUBEEは、今年AFJBとして福島に帰ってくる。また別視点となるが、三原健司の声帯ポリープの切除手術から約1カ月の休養を挟んでいたフレデリック(以上、10月15日出演)は、『LIVE AZUMA 2023』が活動再開のライブとなる。「かなり進化できそうです 待ってくれてありがとう期待しとってください」とX(旧Twitter)に綴っている三原は気合十分だ。

 収容人数3万人を誇るあづま球場には、クッション性に優れたふかふかの人工芝が広がっている。昨年はnever young beachを楽しむ親子連れにほっこりさせられたが、今年はきゃりーぱみゅぱみゅを筆頭に、Def Tech(以上、10月14日出演)、PUFFY(10月15日出演)といったアーティストでそんな光景が見られる気がしている。

ユニコーン『LIVE AZUMA 2022』

 メインステージが“球場”で“野外”という点は『SUMMER SONIC』と大きくリンクする部分であるが、『LIVE AZUMA』では吾妻連峰の眺めが日中から夕暮れ、夜にかけて刻一刻と変化していく。満点の星空の下で始まったストレイテナー「Melodic Storm」、未来への希望の詰まったユニコーン「HELLO」は、昨年の各日のハイライトであったが、今年は電気グルーヴ、[Alexandros]がその役割を担う。今年の『SONICMANIA』で観た電気グルーヴは、「富士山(Techno Disco Fujisan)」締めの70分ノンストップだった。ある種、“山”の麓で開催される『LIVE AZUMA』と電気グルーヴの親和性は抜群。ツアーを直前に控えた[Alexandros]は夜の帳が下りた球場に、スタジアムロックを鳴らしてくれる。

ストレイテナー『LIVE AZUMA 2022』

 昨年、ウルフルズのトータス松本がMCで話していた一言が忘れられない。駅近くのラーメン屋でORANGE RANGEのYAMATOらとバッタリ会ったというエピソードから、福島が「街ぐるみで盛り上がってる」のを感じたというのだ。例えば、東京駅から新幹線で約1時間半、福島駅からシャトルバスで約20分という、都内から最短で2時間で到着する会場には県外からも多くの人々が来場していた。

『LIVE AZUMA 2022』の様子

 はっきり言ってしまえば、福島県の中でも福島市はアーティストがライブをしにやってくる街では決してなかった。もちろん、とうほう・みんなの文化センター(福島県文化センター)をはじめ、福島Out Line、Live Space C-moonといった市内にあるホールやライブハウスに筆者も公演を観に行ったことはあり、その裏にいる人々の努力を感じながら、それでも仙台や郡山へとライブ自体が流れていってしまっているのが現状だった。

 今でもそれは変わらないのかもしれないが、昨年Kjがコメントで触れていたように、これまでフェスがなかった場所だからこそ、一人ひとりがライブというものに枯渇していて、その楽しさが爆発している雰囲気というのは、筆者自身も会場にいて強く感じたことだった。この『LIVE AZUMA』が新たな源流となって、福島市内のライブハウスに少しでも恩恵をもたらしてくれたらと、福島市出身の一人として願うばかりだ。

■開催情報
『LIVE AZUMA 2023』
開催日:2023年10月14日(土)・15日(日)
時間:オープン 9:30 / スタート 10:30(予定)
会場:あづま総合運動公園 / 福島あづま球場(福島県福島市佐原字神事場 1番地)

<チケット>
価格:
・2日通し 18,000円
・1日券 9,900円

[小中高生入場券]
・2日通し券 14,000円
・1日券 7,900円

大駐車場・2日通しバイク駐車券 3,000円(税込)
大駐車場・1日バイク駐車券 1,500円(税込)

場外臨時駐車場・2日通し駐車券(1台)  5,000円(税込)
場外臨時駐車場・14日駐車券(1台) 2,500円(税込)
場外臨時駐車場・15日駐車券(1台) 2,500円(税込)

チケット詳細はこちら
https://liveazuma.jp/ticket/

■出演者ラインナップ
・10月14日(土)
<AZUMA STAGE>
電気グルーヴ
Nulbarich
女王蜂
STUTS
iri
きゃりーぱみゅぱみゅ
羊文学
Def Tech
Chilli Beans.

<PARK STAGE>
C.O.S.A.
Daichi Yamamoto
思い出野郎Aチーム
Shin Sakiura
水曜日のカンパネラ
YOUR SONG IS GOOD
9m88

・10月15日(日)
<AZUMA STAGE>
[Alexandros]
フレデリック
Awich+SOIL&”PIMP”SESSIONS
奥田民生(MTR&Y)
PUFFY
Original Love
KANA-BOON
Kroi
ハンブレッダーズ

<PARK STAGE>
AFJB
ALI
どんぐりず
Furui Riho
GAGLE
MONKEY MAJIK
Skaai

公式サイト:https://liveazuma.jp/

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