アイナ・ジ・エンド、CHARA、Salyu……孤独や痛みに寄り添う歌 『キリエのうた』に向けて振り返る“岩井俊二×小林武史”の音楽

 岩井俊二×小林武史による23年ぶりの音楽映画『キリエのうた』もまた、音楽・歌が物語の核となっている。路上ミュージシャンのキリエ(アイナ・ジ・エンド)は、歌うことでしか声を発することができない。ある夜、キリエの歌を聴いた一条逸子(イッコ/広瀬すず)は、キリエのマネージャーを買って出る。2人は石巻、大阪、帯広、東京を巡りながら、突然姿を消したフィアンセを探し続ける青年・潮見夏彦(SixTONES 松村北斗)、“子供たちを守りたい”という強い意志を持っている小学校教師・寺石風美(黒木華)に出会う。それぞれに過去を引きずる4人の運命が、歌を通して絡み合い、未来へ向かって動き始める——。

映画『キリエのうた』60秒予告【10月13日(金)公開】

 主題歌「キリエ・憐れみの讃歌」(作詞・作曲・編曲:小林武史)は、〈心 燃え尽きてしまった夜に〉というフレーズから始まる。歪んだギターのフレーズ、マーチング的なビートとともに描かれるのは、自分の運命を憐れむような感情から少しずつ抜け出し、どこにもない世界を歩いていく決意。ホーリーな響きをたたえた管楽器が加わった中盤以降、楽曲のスケールは大きく広がり、合唱隊的なコーラスとともに圧倒的なカタルシスへと結びつく。軸を担っているのはもちろん、“キリエ”のボーカル。苦しみや痛みを抱えながら、決して虚無や絶望に陥らず、生そのものを祝福するような歌声はまさに唯一無二だ。「キリエ・憐れみの讃歌」がこの映画のなかでどう響き、どんな作用をもたらすかは、ぜひ劇場で確かめてほしい。

Kyrie(アイナ・ジ・エンド)- キリエ・憐れみの讃歌 [Official Music Video](映画『キリエのうた』主題歌)

 映画『キリエのうた』公開の5日後(10月18日)には、Kyrie(キリエ)名義による1stアルバム『DEBUT』がリリースされる。劇中でキリエが歌う楽曲には、アイナ・ジ・エンドが作詞作曲した楽曲も含まれ、小林がサウンドプロデュースを担当。劇中で流れる音楽とは異なるアレンジでアルバムに収録されるという。本作のティザー映像でアイナは、「悲しいことも嬉しいことも生きているから味わえるんだろうな。命を燃やしていけるような歌を真心込めて作れたので、届いていたら嬉しいです」とコメント。CHARA、Salyuと同じく、この音楽映画に深く関わったことで、アイナ・ジ・エンドはソロシンガーとしての新たな表現を切り拓くことになるだろう。

※1:https://www.cinemacafe.net/article/2022/10/06/81235.html
※2:https://youtu.be/OTa57Cyv6Ag?si=jLXGxJ_oFAul9Hx7

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