NCT、7年の集大成が詰まった『NCT NATION』最終日徹底レポート 日本での初スタジアム公演で5万5千人と共に見た無限の可能性
後半には再びNCT Uの楽曲が畳みかけるように集結。「New Axis」から「Misfit」まで7曲を立て続けに、編成を変えながら歌い上げた。とりわけ「The BAT」では真っ黒な衣装の首元のファスナーを下ろしながら、クールな視線を逸らして歌うJISUNGの魅力に悲鳴が上がる。さらには、「OK!」で向かい合ってYUTAがTAEYONGの顎を撫でたり、再びトロッコでサイドステージに移動した「Alley Oop」で観客の目の前に屈んで煽ってみたり。「Misfit」で鳴り響いた爆発音は、まるで最高潮に達したメンバーのボルテージを象徴しているようだった。
VCRが明けると、ラストスパートに拍車をかけたのは、8月28日リリースのNCT 4枚目のフルアルバム『Golden Age』のタイトル曲「Baggy Jeans」。何よりも、「The 7th Sense」のリリース以来、実に7年ぶりにTAEYONG、DOYOUNG、TEN、JAEHYUN、MARKが再集結した楽曲なのだから、本人たちの感慨もひとしおだろう。MCでMARKが「『The 7th Sense』のメンバーが戻ってきました。『The 7th Sense』も『Baggy Jeans』もこのスタジアムで披露できて本当に嬉しいです」と喜びを滲ませると、隣にいたTAEYONGに2度にわたって熱く抱擁されていた。
TAEYONG、TENによる「Baby Don’t Stop」「Call D」を経て、ネイビーの生地に金の刺繍が美しい上品なジャケット衣装で登場したメンバーは、「Universe (Let’s Play Ball)」「BOSS」でラストスパートを走り抜けていく。全員が集合したNCT 2020の「RESONANCE」では夜空に盛大に打ち上げられた花火と、燃え盛る火柱のマリアージュが、壮大なエンターテインメントショーのラストシーンを華々しく演出していた。
アンコールでは、トロッコで会場中を回り、フリスビーを投げながらNCT 2021の「Beautiful」とNCT 2023の「Golden Age」を歌い上げたメンバー。最後のMCではYUTAの想いの詰まった言葉が観客の心を打った。
「熱い応援のおかげで最後まで乗り切ることができました。みんな楽しめたかな? 本当に最高の時間でした」「最後(トロッコで)回っている時に、みんなの笑顔があまりにもきれいすぎて、『頑張れよ』『負けんなよ』って言われているようで、すごく励まされました。デビューから7年、いろんなことがありながらも止まらずに走ってきたその行動が、このステージに繋がったと思います」「だから今日はこのメンバーとすべてのスタッフさんに拍手をお願いしていいですか」――この言葉に、会場からはあたたかな拍手が湧き起こる。
さらに、熱い眼差しで前を見つめたYUTAはこうも続けた。
「今日ここに来られなかったTAEILヒョンも含めて、NCTという名前で、今はいないけど活動してくれたすべてのメンバー、ここに連れてきてくれたNCTチームのみんなに感謝したいと思います」
“開放”と“拡張”をテーマに掲げるNCTは、これまでもこれからも進化し続ける、ある種、生命体そのもののようなグループだ。惜しまれながらも、グループを去って行ったメンバーもいる。しかし、YUTAのこの言葉は、さまざまな出会いや別れも含め、すべてのNCTの歴史を丸ごと愛し尊重する彼のまっすぐな想いを真摯に伝えていた。
他のメンバーたちも「すべて皆さんのためにこうして頑張ってきました」(KUN)、「皆さんは僕にとっていちばん大切な存在です」(JAEMIN)とシズニへの愛と感謝を伝え、最後にNCT 127のリーダー・TAEYONGが「メンバーが話したことが僕の気持ちです。メンバーたち、みんなお疲れ! みんな、幸せですか? 僕たちも幸せです!」と締めくくった。
7年という濃い年月をひとつのライブパッケージのなかで見事に再現されると共に、「愛されるアーティストには理由がある」、それをあらためて感じさせてくれたNCT。まさにその名の通り、革新的な文化と宇宙のような無限の可能性を備えた存在だ。彼らとシズニの夢の旅路は、これからも永く続いていく。