ボカロP ノラによる“今夜、あの街から”、コンセプチュアルなステージで生んだ熱狂 宮川愛李&VALSHEも登場した初ワンマンレポ

“今夜、あの街から”初ワンマンレポ

 8月27日、“今夜、あの街から”の初ワンマンライブ『承認闘想』がGRIT at Shibuyaにて開催された。

 今夜、あの街から(略称:ヨルマチ)とは、ボカロP・ノラを中心に結成されたネット発の音楽ユニットである。2021年6月に立ち上がったヨルマチは、数々の楽曲を通して「閉塞感漂う日々からいつか脱出して 世界を変えたいと願う 男女(ノラとレイラ)の物語」を描いている。楽曲ごとに様々な女性ボーカリストをフィーチャーしており、今回のワンマンライブでは、VALSHE、宮川愛李の2名をゲストとして迎えることが事前にアナウンスされていた。

ノラ
ノラ

 ライブ数日前の8月22日、ノラはヨルマチのTwitterアカウントで「念願の初ワンマン、僕にとって大切で特別な日。今はまだ一方通行なこの作品を、当日ぜひ一緒に完成させてほしいです。」と熱く意気込みを語っていた。またライブの内容について、「全体にストーリーがあって、最初から最後まで映像が途切れない、まるで映画みたいなコンセプティブなステージにしたいと思って作ってきました」と明かしていた。実際に当日ライブ会場に入ると、入場者限定特典としてノラが今回のライブのために書き下ろした小説が配布された。この小説では、ノラとレイラの出会いが描かれており、このストーリーが今回のライブ本編の軸となっていた。

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「神様の言う通り」って知ってる?
僕らの結末は、みんな神様が決めているらしい。
だけど、確かに書かれたその文字は僕らには読めない。
ただ、そこにあるのは、僕と君と夜の街。
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 小説のイントロダクションの言葉がステージ上のスクリーンに映し出される形で、ライブがスタートする。1曲目は、ヨルマチとしての初投稿曲「ショウニントウソウ」だ。大きな物語の流れの中に楽曲が位置付けられることで、音源単体として聴くよりも、〈この街に溺れてしまう前に〉をはじめとした歌詞の持つ意味がよりシャープに浮き彫りになっているように感じた。

 そして、もう一つ特筆すべきはノラの迸る熱量だ。彼は1曲目から「最高の夜をつくってくれますか!」「皆さん、もっといけますか!」と観客を力強く煽り、2曲目「マリヲネット」では、自ら手を叩きながらクラップを求め、その想いに応えるように会場から大きな手拍子が巻き起こった。ライブならではの高揚感と一体感だ。最初から最後まで映像演出と楽曲がノンストップで続いていくライブ本編であったが、コンセプチュアルな内容でありながら、全編からしっかりとノラの熱量を肌で感じられる空間だった。

 物語の進行とともに次々と楽曲が披露されていき、「レジリエンス」では、「タオル持ってる人、一緒に回しましょう!」とフロアに呼びかけてタオル回しを行い、その一方で、配信でライブに参加する視聴者とも画面越しにしっかりコミュニケーションをとっていく。本編が終盤に進んでいくにつれてノラの歌声にもさらに熱が入り、メガホンを片手にパフォーマンスを届けた「Chase Me」は圧巻だった。

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