藤井 風、BE:FIRST、ONE OK ROCK、Stray Kids、BLACKPINK、マカロニえんぴつ……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は藤井 風「Workin' Hard」、BE:FIRST「Salvia」、ONE OK ROCK「Make It Out Alive」、Stray Kids 「Social Path (feat. LiSA)」、BLACKPINK「THE GIRLS」、マカロニえんぴつ「ペパーミント」の6作品をピックアップした。(編集部)

藤井 風「Workin' Hard」

Fujii Kaze - Workin’ Hard(Official Video)

 『FIBAバスケットボールワールドカップ2023』」(日本テレビ系/テレビ朝日系)の中継テーマソング。という紹介に違和感しか残らない、スポーツに相応しい熱量や高揚感が希薄な、しかし不気味なくらい中毒性の高い曲だ。繰り返すビートを強調するジャジーな鍵盤と、後半以外は低めのキーがずっと続く気怠い歌唱。かなり遅いBPMも含めて、「盛り上がる、踊る」の前提で作られたとは思えない。それなのに藤井はMVで踊っている。少しはにかみながら、このカッコいい低体温サウンドを労働者讃歌にしてしまっている。想像の遥か先を行くセンス。こういうものがポップシーンの中心に君臨しているって、すごい話だ。(石井)

BE:FIRST「Salvia」

BE:FIRST / Salvia -Lyric Video-

 アニメ『「範馬刃牙」地上最強の親子喧嘩編』EDテーマとして制作された新曲「Salva」は、RYUHEIのボーカルによる〈焦がれるほど求むのは何故だ〉というラインからはじまる。深みのあるシンセとギターカッティングを軸にしたトラックのなかで描かれるのは、“君”という存在に対する愛憎入り混じった感情。アニメに登場する範馬刃牙(息子)から範馬勇次郎(父親)に対する思いを反映しながらも、聴き手の経験や感情とリンクさせることで、普遍的なラブソングへと到達している。さらなる進化を遂げたメンバー7人のボーカル・ラップのスキルにも注目だ。SKY-HIとのスプリットシングル『Sarracenia/Salvia』には、同アニメのOPテーマ「Sarracenia」(SKY-HI)も収録されている。(森)

ONE OK ROCK「Make It Out Alive」

ONE OK ROCK × Monster Hunter Now - "Make It Out Alive" Music Video

 スマホアプリ『モンスターハンターNow』とのコラボ楽曲。最初に聴こえるエフェクトの効いたリズム音が、実は歪んだギターリフであると判明するイントロに、まず少し驚いた。アメリカに拠点を移してからは世界の潮流に合わせ、なるべくEDM寄りのシンセ中心、歪んだギターを控えたサウンドデザインに挑んできた彼ら。だがこの曲は紛れもなくザクザクとしたギターがメインであり、雄々しく行進していくバンドサウンドが主役。ヘビーな爆音に合わせて首を振りたくなる、王道ハードロックらしいハードロックとも言える。その意味では懐かしいタイプの一曲にも思えるが、ボーカルの完成度や表現力、コーラスの重ね方などに、さすが経験値の違いが表れている。(石井)

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