FLOW、アニメ『NARUTO-ナルト-』シリーズと重なる20年の歴史　主題歌カバーで見えたバンドの持ち味

当時『NARUTO-ナルト-』を見て育った世代があらためて聴いても面白いアルバム

――アレンジはTAKEさんですか。

TAKE：はい。丸1年かけてやりました。

――たとえば「流れ星～Shooting Star～」（HOME MADE 家族）とか、テンポを速めてオリジナルとまったく違う魅力があって。ああいうアレンジはどんなふうに思いつくんですか。

TAKE：今回のアルバムで最初に手をつけたのが「CLOSER」（井上ジョー）で、オリジナルの持っているポップパンクの疾走感から、メロディの持っている泥臭さみたいなものを、ガレージロックのアプローチで表現できないかな？　と。そうやって1曲ずつ選曲していく中で、聴いていてアレンジメントが浮かぶものはどんどん進めていって、そこからバリエーションのためにラップ曲を入れたいとか、1年間吟味しながら、1枚のアルバムを作っていった感じですね。

――いつものアルバムの作り方ですよね。バランスを考えながら。

TAKE：はい。単純にカバーを集めたコンピレーションにはしたくなかったので、1枚の作品として聴けるものに仕上がったと思います。

――「流れ星～Shooting Star～」の話に戻すと、こういうアレンジメントがパッと頭に浮かんだんですか。

TAKE：これは単純に思いつきで、たぶん、東京ディズニーシーへビッグバンドビートを見に行ったからだろうな（笑）。オリジナルの持っている、バラードなんだけどシャッフルの楽しい感じ、ワクワクする感じがビッグバンドアレンジに合うだろうなと思って、やったらけっこうハマって。今回のアレンジメントの中でもうまくいった曲だと思ってます。できたやつを速行KUROちゃん（HOME MADE 家族）にメールしたら「面白いね。このバージョンもありだね」って、お墨付きをもらいました。

――逆に「ビバ★ロック」とかは、FLOWらしさをそのまま出したほうがハマるだろうと。

TAKE：そもそも「ビバ★ロック」を入れようとなった時に、7月の『FLOW 20th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE 2023 〜アニメ縛りフェスティバル〜 』でORANGE RANGEとの共演が決まっていたんです。コラボしたいから、そこまで変えずに一緒にできる形で収録しようというのが当時からあって、そうしたらまるでオリジナル曲かのように仕上がった、という感じです。

――ちなみに一番アレンジで悩んだ曲は？

TAKE：悩んだ曲は、正直ないです。ある程度形が想像できたり、挑戦したいと思った楽曲を選曲させてもらったので、単純に編曲家として楽しい時間でした。今回はとにかく名曲が多いことをあらためて感じられたのと、素材がいいからどう調理してもおいしくなるというのはあったんじゃないかなと思います。「シルエット」は、古賀（隼斗）ちゃん（KANA-BOON）が「2番のAメロが面白かったです」と言ってくれましたね。曲調ががらっと変わってレゲエセクションになるので、それが原曲にはないアクセントとして面白く感じてもらえたのかなと。本人たちにも楽しんでもらいたかったんで、良かったです。

――FLOWの20周年を祝う人、『NARUTO-ナルト-』20周年を祝う人はもちろん、新しいリスナーにも入って来てほしいアルバムだなと思います。それこそ、ファーストロック体験として。

KOHSHI：『NARUTO-ナルト-』のテーマ曲自体がいわゆるアニソンというよりは、バンドやアーティストの作品の一つなので。『NARUTO-ナルト-』を通していろんな形の音楽が聴けるし、第一線で活躍しているミュージシャンたちの20年の歴史を振り返れるから、良質な音楽が聴けるコンピレーションとして聴いてもらえるのもいいかなと。そこに『NARUTO-ナルト-』のいろんなエピソードが走馬灯のように流れてきて、少し大人になった今、当時『NARUTO-ナルト-』を見て育った世代の人たちがあらためて聴いても面白いアルバムなんじゃないかと思います。

IWASAKI：これを聴いて、もう一回原曲に戻ってもらうこともできるので、そういう楽しみ方もしてもらえればいいかなと思いますね。

TAKE：本当におこがましいことだとは思うんですけど、「『NARUTO-ナルト-』といえばFLOWだよね」と言っていただけるファンの方たちに、こういう形で感謝の意を表明することもそうだし、自分たちだからこそできるということで、やらせていただいたことが、すごく誉（ほまれ）でした。

ピンチをチャンスに変えてきたFLOWの20年

――みなさんぜひ、いろいろな思いを乗せて聴いてほしいですね。そして今後の話ですけど、FLOWの20周年はいつまでですか。

TAKE：満20周年に突入したので、来年の7月2日までですね。まだまだ、いろいろ企画してます。

――このあと、FLOW20周年企画はどうなっていくんでしょう。

TAKE：今回の『FLOW THE COVER～NARUTO縛り～』もバンド史上初の挑戦だったんですけど、自分たちが20年やってこれたのは、飽きずに、変化を恐れずに新しいことに挑戦し続けた歴史だと思います。来年に向けてまた新しいことをやろうと思っているので、まだまだ楽しんでいけたらと。あと、今年に入ってからライブの状況が元に戻って来たというのが非常に大きくて、コロナで3年間の空白を過ごしたぶん、ここから逆襲の時間が始まったなと思っているので、海外でプレイする機会も含めて、ぜひ現場で一緒に盛り上がりたいですね。特に『NARUTO-ナルト-』は世界で人気があって、先日ブラジルに行った時に、アルバムのティーザー映像を流したんですけど、（観客が）全曲歌うんですよ。そういうことも含めて、いろんなところに届けていけたらいいなと思っています。

――『NARUTO-ナルト-』の曲は海外で間違いなくウケますよね。ところでGOT'Sさん。7月8月に左手小指の良性腫瘍を切る手術をして、この記事が出る頃にはそろそろライブ復帰が近いと思いますけど、1カ月ほどライブを休んで何か思うところは？

GOT'S：ヒマですね（笑）。早く復帰したいです。こんなに演奏を我慢したことがないので、復帰が楽しみです。こういう気持ちになるとは思わなかった。このまま気持ちが離れていくんじゃないか？　とか少し思ってたんですけど、安心してください、弾いてますよ。

――（笑）。

GOT'S：でもこういうトラブルが起きても、みんなどーんと構えていて、ライブをやめようかということにもならずに進んでいくので。俺も同期を流しても、サポートでもいいんじゃない？　って。そういう感じがいいですよね。バンドが進んで行ってくれるのが頼もしいというか。

TAKE：お客さんもライブでイエーイ！　って盛り上がったあと、「今日はベースがサポートなんです」って言ったら、「あー、そうなんだ」みたいな。で、また曲が始まったらイエーイ！　って（笑）。

GOT'S：そんなもんですよ（笑）。

――バンドが揺るぎない証拠じゃないですか。

GOT'S：人生、長い中で、ちょっとしたことですよ。生きていればなんとかなる精神で。

KOHSHI：サポートベースのHALNAちゃんも馴染んできたし。

KEIGO：『RISING SUN ROCK FESTIVAL』は楽しかったね。

GOT'S：俺の帰るところがない（笑）。でも離れても、心の中で「盛り上がってほしいな」って思うんだ、と思った。「俺のいないライブなんて……」とかなりそうじゃん、俺の性格上。

KEIGO：自分で認識してる（笑）。

GOT'S：でもしっかりと盛り上がってほしい気持ちになれるんだ、って。

TAKE：気づきがあったね。

――さすがです。これまでもFLOWはピンチをチャンスにしっかり変えてきている。今回もそういうことかなと思います。ですよね、GOT'Sさん。

GOT'S：そうですね。俺の戻る場所がちゃんとあれば（笑）。

■リリース情報
8月30日（水）リリース
『FLOW THE COVER ～NARUTO縛り～』
[初回生産限定盤] VVCL-2340～2 CD＋BD＋豪華BOX仕様　¥6,600（税込）
[通常盤]CD only　¥3,300（税込）
・購入はこちら
https://flow.lnk.to/0830_FLOWTHECOVER

＜CD収録楽曲＞
1.遥か彼方 / ASIAN KUNG-FU GENERATION
2.ビバ★ロック / ORANGE RANGE
3.GO!!!(20周年アニバーサリーバージョン)
4.ユラユラ / Hearts Grow 
5.Hero‘s Come Back!! / nobodyknows+
6.流れ星～Shooting Star～ / HOME MADE 家族
7.ブルーバード(NARUTO縛りMix ver.) / いきものがかり
8.CLOSER / 井上ジョー
9.Sign(Piano Ballad ver.)
10.Moshimo / ダイスケ
11.シルエット / KANA-BOON
12.カラノココロ / Anly
13.GO!!! - From THE FIRST TAKE
14.Sign - From THE FIRST TAKE

＜Blu-ray収録Music Video＞
1.遥か彼方 / ASIAN KUNG-FU GENERATION
2.ビバ★ロック / ORANGE RANGE
3.GO!!!(20周年アニバーサリーバージョン)
4.CLOSER / 井上ジョー
5.Sign(Piano Ballad ver.)
6.シルエット / KANA-BOON
7.カラノココロ / Anly
※初回生産限定盤にBDとして収録

・先行配信
▽6/7 FLOW「ビバ★ロック」
https://flow.lnk.to/Biva_Rock
▽6/15 FLOW「遥か彼方」
https://Flow.lnk.to/HarukaKanata
▽6/26 FLOW「GO!!!(20周年アニバーサリーバージョン)」
https://Flow.lnk.to/GO20thAnniversary.ver
▽6/26 FLOW「CLOSER」
https://Flow.lnk.to/CLOSER
▽7/26 FLOW「Sign(Piano Ballad Ver.)」
https://flow.lnk.to/Sign.Piano-Ballad-Ver
▽7/26 FLOW「シルエット」
https://flow.lnk.to/Silhouette

FLOWオフィシャルサイト https://www.flow-official.jp/
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