たかやん、あれくんらも駆けつけた堂村璃羽初のワンマンツアー東京公演　ゼロ距離のアットホームなライブが作る“居場所”

　ピアノのイントロから別れた恋人に対する断ち切りがたい未練を歌った「byebye」をひとりで歌うと、再び「今から、すごいことをします」「あまり歌わない曲を歌おうかな、長年ライブでは歌っていない曲を」と観客の期待を煽る――というか、逆に言えば自らハードルを上げるような予告をしてから、「お呼びしましょう、最古の相方！」とシンガーソングライターのあれくんをステージに迎える。そして、あれくんが爪弾くアコースティックギターの音色とともに「夜へ逃げよう」と、シンガーソングライター・大柴広己によるバラードのカバー「さよならミッドナイト」の2曲を、オートチューンを使わずに歌い上げ、地声の魅力をアピール。そこには、もともと歌のうまい人なのだという新たな発見もあったのではないだろうか。

　埼玉から大阪、四国、広島、岡山、福岡、鹿児島と路上ライブしながら、あれくんの運転で4200キロを走破したエピソードをはじめ、「一生喋っていられる」と語ったあれくんとの思い出話も聞きどころだった。

　8月11日リリースの最新EP『夢の続き』から、アンセミックな「EGOIST」を「この曲もいつかみんなと一緒に歌いたい。俺は俺の人生の主人公だし、おまえらはおまえらの人生の主人公だって曲です。行こう」「声枯らす気でいくわ！」と披露。聴く者の胸を焦がすようにエモーショナルな歌声を響かると、そこから一転、ジャジーなピアノの旋律を鳴らしながら繋げたのが、「FAKE LOVE」同様に体だけの男女関係を赤裸々に歌って話題となった「都合いい関係」。チルなトラックも含め、アンセミックな「EGOIST」からの落差が物語っていたのは、堂村が作る楽曲の振り幅の広さだ。

　「残り4曲！　聞かせてほしい声量で、みんなの意気込みを」「残り4曲、楽しめますか！」。そう煽ってからのラストスパートは、その4曲中3曲がたかやんを迎えた実質上のSTUPID GUYSのリユニオンだったのだから、オーディエンスたちが悲鳴に近い歓声を上げたのも頷ける。堂村は、ネット上でまことしやかに語られているたかやんとの不仲説をきっぱりと否定した。そして、たかやんとともにSTUPID GUYS存続の意思を語りフロアを沸かせると、たかやんとがちっとハグして、この日何度目かの特別な夜にふさわしい光景を観客の目に焼き付ける。

　そして、見どころ満載のライブはいよいよ終演を迎える。「来年もっと大きなステージに行こうね。頑張るよ」「いこうか、ラスト！」――この日、堂村がラストナンバーに選んだのは、先述の最新EPの表題曲、「夢の続き feat. ゆう。」だ。

　何度聴いてもすごい曲だと思う。メロディが持つ悲しさに加え、儚げな声で歌うゆう。の（この日の歌声はシーケンスだったが）《私でも生きていいのかな》という問いかけに答えるように堂村が最後に歌う《君に生きてほしい》という言葉が胸にずしりと響く。個人的には、その衝撃はこの日生まれた数々のハイライトを凌駕するほど大きなものだったことを正直に記しておきたい。

　「俺のファンのなかには死にたくなる人が多かったりとか、集まったりするけど、俺の曲を聴いてくれたり、ライブに来てくれたりするだけで、俺はめちゃくちゃうれしいし、助かってるし、そのおかげで生活してるし」「そうやって困っている人を助けることができるわけだから、『私なんか生きていても』『僕なんか生きていても』って思っている人がもしいるんだったら、俺と一緒に“もうちょっと、もうちょっと”を繰り返して、明日、明後日を繋いでいけたらと思うし、またみんなに会いたいし、“次はもうちょっと大きいところで”を繰り返して、生きてる限り音楽を頑張ってやっていくので、みなさんもついてきてくれますか？」

　最後はダメ押しするように熱いメッセージを送って、再会を誓い合ったが、これからライブの規模を大きくしていこうとしているなかで、堂村がこのアットホームなライブをどんなふうに続けていこうと考えているのか興味が尽きない。その意味でも、ぜひ次のライブにも足を運んでみたいと思っている。

たかやん、あれくんらが集った堂村璃羽ワンマンライブフォト一覧