「NewJeansの成功は100％予想通り」　総括プロデューサー ミン・ヒジン×シン・ウソク監督に聞くiPhoneで撮影した「ETA」MV制作秘話

　2023年7月26日には2nd EP『Get Up』をリリースし、鮮烈なデビュー以降、世界中のK-POPファンを賑わせ続けているNewJeans。中でも、今作の収録曲「ETA」は、MV全編をiPhone 14 Proで撮影したことでも注目を浴びている。今回は、NewJeansの総括プロデューサーであるミン・ヒジンと、「ETA」のMV撮影を手掛けたシン・ウソク監督へのオンラインインタビューが実現。『Get Up』やMV制作秘話、Apple社とコラボレーションした背景などについて話を聞いた。（AMO）

Appleからの振り付け動画の提案にミン・ヒジンからMV撮影を逆提案

ーー2nd EP『Get Up』のインスピレーションとなったものはありますか？

ミン・ヒジン：私はアルバムのトラックリストを構成する時はいつも、収録される一つひとつの曲が全て強調されてほしいと思っています。今回の2nd EPは、1st EP『New Jeans』よりも一歩進化した印象にしたいという考えがありました。1st EPでは、3つのタイトル曲が全て違った印象になるようにしましたが、今回はその逆で、1曲目から6曲目まで一つに繋がっているような感じにしたかったのです。

ーーこのプロジェクトに至った経緯について教えてください。

ミン・ヒジン：2nd EPの収録曲の中でも「ETA」は、特に曲自体がダイナミックな感じなので、「せっかくならこれまでにない試みでMVを撮影したら面白いのでは？」と思ったのが始まりです。Appleから初めは「振り付け動画を撮りませんか？」とご提案いただいたのですが、単にiPhoneの機能性を強調するよりも、現代社会で誰もが持っているスマートフォンを通じて機能性とメッセージを両方伝える方がより面白いと思い、どうせならメインのMVを撮りたいと私の方から逆に提案しました。

　今は、大人から子供まで誰もがスマートフォンを使う時代ですよね。そんな時代だからこそ、スマートフォンが現代社会でどんな意味を持っているかについて、もっと掘り下げていくべきだと思ったんです。スマートフォンが、ただ動き回るものを安定して撮ることができるだけでなく、私たちの生活でどのような意味を持っているのかについて、立体的でより良く見える方法でMVの中で体現できれば、有意義なものになるのではないかと思いました。

振り付けやストーリー展開においてもiPhoneを活用

ーーMV撮影にiPhoneを取り入れてみていかがでしたか？

シン・ウソク：とても軽いデバイスでMVを撮影するというアイデアは、私にとって楽しい経験でしたね。従来のプロレベルのカメラでの撮影とは全く違う経験でしたが、難しいとは感じませんでした。iPhoneは、奥行きの面で物足りない部分はありますが、その分独自の雰囲気を出すことができます。例えば、MVの中でNewJeansのメンバーがスピーカーフォンをつけて1人ずつリップシンクをするシーンや車内でのシーンなどは、iPhoneで撮った方がそのルックやフィーリングに合っていると思います。また、最初はアクションモードに関して半信半疑でしたが、実際に使ってみて、プロレベルのクオリティだと実感しましたね。

　あと、今回のコラボレーションを通して僕らの生活や現代社会の中にiPhoneがある意味を見つめることができたのは有意義なことだと思います。「ETA」の歌詞と曲自体が楽しい雰囲気なので、撮影そのものも楽しかったです。

ミン・ヒジン：私は振付師に、iPhoneで撮影することを念頭に置いて振り付けを作るよう依頼しましたが、iPhoneを使った振り付けを取り入れるのは、とてもNewJeansらしく、またZ世代らしいアイデアでいいと思いました。最近の若者は、みんなで遊ぶときに必ずスマホを使いますよね。なので、NewJeansのメンバーたちにもパフォーマンスのエンディングは、友達と遊んでいるつもりで自由に振り付けを考えて踊り、ステージごとに異なる演出をしてほしいと提案しました。その方が、メンバーたちがより自分を表現できて、パフォーマンスにも充実感が加わり、見ている方々にもリアルタイムの共感と特別な感覚を伝えることができると思ったので。

ーーiPhoneを取り入れる中で、特に気をつけたことはありますか？

シン・ウソク：MVの中で、iPhoneが持つ意味を強調したかったので、そういう想いでシナリオを書きました。撮影中も、MVの登場人物がiPhoneを持っているシーンがたくさんで出てきますし、FaceTime通話を軸にしたストーリーもあります。最後のNewJeansのメンバーがカメラのフラッシュの間にいるシーンに関しては、このプロジェクトの意味を最大限に表現するために様々な工夫をしました。あと、カメラのように固定して撮影するシーンも、iPhoneで撮っているので普段より気をつけて撮りました。