女性アイドル自己紹介ソングの魅力とは? メンバーとプロデューサーの目線が合わさって見えるキャラクター像
歌い継がれるモー娘。の自己紹介曲、METAMUSE μは大森靖子の鋭さが光る
モーニング娘。が歌い継ぐ自己紹介ソングといえば「女子かしまし物語」だ。2004年に“第1弾”が発表され、以降、メンバーの変更に合わせて何度もアレンジされている。リリース当初の歌詞では、石川梨華について〈自分じゃその気はないらしい〉、藤本美貴は〈末っ子だか なんか 知らないが〉などかなり他者視点でメンバーについて語られ、なかでも道重さゆみのパートでは、すっぴんでどんなことでもやってのける彼女に対して〈「いいな〜若いって…」〉と先輩メンバー側のコメントが入り、道重の〈「はい!」〉という返答が印象的だった。楽曲制作者であるつんく♂らがメンバーをどう見ているかがよく分かり、時には道重のパートのように他のメンバーの感想が全開になる場面がユニーク。本人からでも、ファンからでもない、絶妙な立ち位置からの視点がおもしろかった。
METAMUSEの少人数ユニット、METAMUSE μの「SAY MYU」(2023年)も自己紹介ソング的だ。たとえば藍染カレンの歌唱パート〈跪きなさい〉は主演ミュージカル『悪ノ娘』のキャッチコピーになったもの。西井万理那の〈君の太陽〉、巫まろの〈いい女〉、鎮目のどかの〈ダイヤモンド〉もそれぞれに合ったようなワードが配されている。きわめてシンプルでありながら、歌っている人物とキーワードをイコールでしっかり結びつけているところは、METAMUSEのメンバーでありプロデューサーもつとめる大森靖子ならではと言えるだろう。
インディーズアイドルの自己紹介ソングとして異質さを放っている、大阪が拠点のくぴぽの「まきちゃんかわいいSONG(2022 ver.)」もここで触れておきたい。METAMUSEの大森靖子同様、メンバーでありグループのプロデューサーも担当するまきちゃんが自らについて紹介する楽曲で、身体は男性だが気持ちは「かわいい女の子」である自分について向けられる「かわいい」と「ブサイク」の両意見が楽曲のなかで衝突する。ただ曲後半では〈女の子になりたくてずっと憧れてた アイドルになって夢が叶ったよ〉と口にし、最後には〈ブサイク〉という声が消えて〈かわいい〉で埋め尽くされていく展開は圧巻。それと同時に、アイドルとして色々なことを願い続ける大切さが感じられる。事実、活動期間の約10年のなかでそんなまきちゃんに投げかけられる評価はどんどんと変わっていった。
女性アイドルの自己紹介ソングはそのグループにしかない個性が見られる。その曲の内容が、プロデューサーからの視点なのか、メンバーからなのか、それともファン側に立ったものなのか。それを考えながら聴くと、よりあじわい深くなるだろう。
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