『FNS歌謡祭』では松平健と「パンダピラニア」コラボ チョコレートプラネット、長田庄平の生む音楽の面白さ
チョコレートプラネットの長田庄平は多才な“アーティスト”であることをご存知だろうか。
先日チョコレートプラネットの新曲「パンダピラニア」が松平健によって日本語カバーされた。原曲は今年の3月に配信された「Panda Piranha」である。この曲は『ドラフトコント2022』(フジテレビ系)の「チーム長田」(長田庄平(チョコレートプラネット)、KAƵMA(しずる)、嶋佐和也(ニューヨーク)、賀屋壮也(かが屋)、岡野陽一)でのコントで起用された楽曲である。コントは架空の国の架空の言語によるバラエティ番組という内容だ。実在していそうな、東南アジアのローカル番組を彷彿とさせるコントは、岡野陽一が「キンパ・ニー」という大御所歌手として登場し、最後は「Panda Piranha」を歌って華やかに締め括られる。先日リリースされたのは松平健による日本語カバーで、作詞は長田が手がけている。番組の放送中やその後もネットでの反響が多く、本日7月12日放送の『2023FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系)では、松平健とチョコレートプラネットのコラボステージも予定されている。長田が手がける楽曲やMVはなぜわたしたちを魅了するのだろうか。
チョコレートプラネットの楽曲はほぼYouTubeチャンネル「チョコレートプラネット チャンネル」で公開されており、現時点で(チョコレートプラネットの名義で)音源サイトなどでダウンロードして聴くことができるのは「TT体操」「ハルに君、ユビサック」「君のナツ、ユビサック」の3曲だけである。そして、その楽曲からMVに至るまで全てを長田が制作しているのだ。彼が制作する歌ネタは、大まかに3つに分類することができる。
①長田庄平によるカバー曲
②チョコレートプラネット名義の曲
③長田庄平が歌っているが別名義で出している曲
それぞれで代表的な曲をピックアップし、その特徴をまとめてみた。
①長田庄平によるカバー曲
長田が他人の曲をカバーする動画だが、これも(1)「長田本人によるカバー」、(2)「歌チャーハン」、(3)「傷だらけで歌ってみた」の3つの種類がある。①は長田が真面目にMVなど似せてカバーしているもので瑛人の「香水」は松尾駿のコンテンポラリーダンスと長田のそっくりな雰囲気や歌声で話題になった。(2)は長田がチャーハンを作りながら一曲歌い上げるもので声は別撮りになっているが、チャーハンの作り方が分かりやすく料理動画のようである。(3)は「傷だらけで歌ってみたらええ感じになるんじゃないかということで 傷だらけで歌っています」という概要欄のコメントの通り、モノクロの動画で負傷した長田を見ることができる。(1)以外はただのカバーではなく長田のオリジナル性が垣間見えるものとなっており、それぞれYouTubeでタイトルを検索すると上位に現れる新しい“歌ってみた”シリーズである。
今回紹介するのは(3)「傷だらけで歌ってみた」のLiSA「紅蓮花」のカバー。こちらを選んだ理由は、長田名義のカバーでは瑛人「香水」につぐ120万回再生を突破していること、長田の演技や演出力が一目でわかることの二点である。この動画では高いキーかつテンポの速い「紅蓮花」を一見簡単そうに歌い上げるが、それだけではない。長田のすごく痛そうな表情にも注目だ。敵からの攻撃を受け逃げている主人公、まさにハリウッド映画のワンシーンのような演技力。さらに、モノクロにすることでグロテスクには感じないが、リアルに怪我をしているように見えるのである。また血の色を再現するのは難しい上、怪我の再現性が高すぎるとYouTubeのガイドラインに引っかかってしまう可能性もあるので、あえてモノクロにするという長田のアイデアマンぶりも伝わる。
②チョコレートプラネット名義の曲
チョコレートプラネットの元祖歌ネタ、大ブレイクのきっかけにもなった「TT兄弟」と指サックをテーマにした「ハルに君、ユビサック」だ。「TT兄弟」とは世の中にある“T”を探していこうというもので、のちに歌ネタの宝庫番組となる『有吉の壁』(日本テレビ系)で2018年に披露されたネタである。なお、長田がメインで歌うスタイルは現在でも変わっておらず、松尾は一緒に少し口ずさむ程度である。
今回紹介するのは、「ハルに君、ユビサック」。今年の春に、久々にチョコレートプラネット名義でリリースされた楽曲だ。コンビ名義で配信されている曲の中では一番アーティストらしいと感じられる。MVも女優を起用した凝ったものになっている。同曲を皮切りに同曲を皮切りに、春夏秋冬のシーズンごとに指サックをモチーフにした楽曲を発表するプロジェクトが始動した。この曲は「春」の指サックがテーマになっており、若い男女のラブストーリーを爽やかなサウンドで歌い上げる。MVを見れば遠い昔の青春と指サックの偉大さを思い出せるエモーショナルな一曲である。また、指を使ったダンスや、〈パピプペPop!〉と声に出したくなるリズムやメロディも印象的だ。
7月5日には第二弾の「君のナツ、ユビサック」が公開された。MVには夏の空のようなコバルトブルーの指サックとDXTEENの大久保波留が登場し、淡い夏の恋を疑似体験できるような楽曲になっている。コロナ禍での様々な制限が解禁されつつあるこの夏にぴったりなサマーナンバーなのでぜひ聴いてほしい。