『有吉の壁』発バンド 美炎-BIEN-が話題 ピンクハレルヤ、Fly or Die……ヴィジュアル系×お笑い特有の様式美

 今、YouTubeにアップされたMVがまたたく間に100万回再生を突破し、注目されているバンドがいる。それが「美炎-BIEN-」だ。

 ……といっても、テレビ番組『有吉の壁』(日本テレビ系)の「ブレイクアーティスト選手権」に登場した、チョコレートプラネットとパンサーのメンバーらで構成された企画バンドである。

 メンバー編成は、Kushami(Vo/チョコレートプラネット・長田庄平)、Zumari(Gt/パンサー・向井慧)、Dust(Ba/パンサー・菅良太郎)、Kafun(Dr/チョコレートプラネット・松尾駿)で、鼻にティッシュペーパーを詰めた「鼻詰まってる系ヴィジュアルバンド」として「鼻吹雪」を番組内で披露した。なお、パンサー・尾形貴弘は理由は不明だが不参加である。

 4月10日に放送された音楽番組『バズリズム02』(同局)にも出演し、ますます注目が高まっているようだ。

【美炎】鼻吹雪 〜”バズリズム02″ver.〜【有吉の壁】

 90年代から『とぶくすり』のよゐこによるYOSHIKIコントなど、特定のミュージシャンのパロディは存在したが、「ヴィジュアル系」という概念自体がいじられるようになったのは、90年代のヴィジュアル系ブームを経過し、世間がなんとなく「ヴィジュアル系」というイメージを持つようになってからのことである。

 2002年に『はねるのトびら』のコントに登場したヴィジュアル系バンド、ピンクハレルヤは、実際に雑誌『FOOL’S MATE』主催のフェス『-Beauti-Fool’s Fest 03-現代奇想博覧会』にも出演するなど、意外にも(?)ヴィジュアル系バンドのファンには好意的に受け止められ、今でも代表曲「Bloody Angel」を歌えるバンギャルは少なくない。

 その他にも、2005年に結成されたロンドンブーツ1号2号の田村淳(の、弟のhaderu)率いるjealkbは、笑いの要素はあれどヴィジュアル系そのものをネタにする要素は薄いのも特徴で、現在も活動を続けている。2010年には、『クイズ!ヘキサゴンII』のヘキサゴンファミリーから派生したエアヴィジュアルバンドがCD『サラリー☆マン/第三の男/レッド・アイ』をリリース(エアバンドの代名詞・ゴールデンボンバーのブレイクの直前という謎のタイミングであった……)、2012年にはよゐこ濱口優を中心に結成された松竹芸人によるヴィジュアル系ならぬ“ブジュアル系”を名乗る禿夢の結成、そして2014年には『ゴッドタン』の「芸人マジ歌選手権」から生まれたマキタスポーツ(ダークネス様)のFly or Dieなど、ヴィジュアル系×お笑い芸人という組み合わせからは、様々な企画やバンドが生まれているのだ。

 ヴィジュアル系×お笑い芸人では、世間的なヴィジュアル系のイメージと実像のギャップが強調されることが多い。禿夢もバンド名や“ブジュアル系”というコンセプトをみてもそれを強調していることは明らかであり、ファンが妄信的に熱狂するピンクハレルヤの正体がみずぼらしい中年男性というギャップで笑いをとっていた。

 Fly or Dieのマキタスポーツの著書『すべてのJ-POPはパクリである』でも、自身のヴィジュアル系パロディ曲である「おかあさん」についてこう述べている。

 ビジュアル系とは何かをあえて説明するならば、男たちが化粧をほどこし、黒ずくめの衣装を着込んで、耽美的で頽廃的な歌を歌う、というのがとりあえずの古典的で大まかな答えでしょう。

 この耽美的な世界観が強固だからこそ、ギャップのある俗っぽい言葉を歌詞として放り込んでみたら笑いになると計算して、私はこのネタ曲に『おかあさん』というタイトルをつけてみました。

 非日常的な世界観に、「おかあさん」という身近なフレーズを入れることで生まれるギャップが笑いになるという構造だ。

Fly or Die – Virgin Marry ~聖母マリア~

 お笑い芸人のバンドではないが、ティンカーベル初野率いるヴィジュアル系バンド、† 色々な十字架 †の「良いホームラン」「大きな大きなハンバーグ」も、完成度の高い耽美な世界観とサウンドに〈永遠に外で立ってる細ジジィ〉〈めずらしい豆くれた近所のババア〉など、異様に所帯じみたフレーズで構成されており、Fly or Dieに近い構造が採用されている。

色々な十字架『大きな大きなハンバーグ』 M/V

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