d4vd、『Fortnite』配信者から世界的ブレイクを果たした異色のキャリア 作品から溢れ出る日本の漫画やアニメへの愛情
『FUJI ROCK FESTIVAL 2023』に出演予定の若きアーティスト、d4vd(デイヴィッド)。今年18歳になった彼は、すでに「Romantic Homicide」「Here With Me」などの楽曲でヒットを記録し、ビリー・アイリッシュも所属するレーベル Darkroom Recordsからメジャーデビューを果たしている。
d4vdが2022年7月にインディペンデントでリリースした「Romantic Homicide」はTikTokでバイラルヒットし、リリースから2カ月で25万ほどの動画で使用された(※1)。同曲は、9月にメジャーレーベル「Darkroom Records/Interscope Records」から再リリースされ、ビルボード全米シングルチャートで33位を記録(※2)。d4vdの楽曲はこれまでに全米で6億1400万回ほど再生されており(※2)、5月26日にメジャーデビューEP『Petals To Thorns』をリリースした。
また、彼の注目すべきポイントとして、日本のアニメの大ファンであること。「Romantic Homicide」のMVは『東京喰種トーキョーグール』からインスパイアを受けており、今最もハマっているアニメは『ヴィンランド・サガ』とも明かしている(※4)。彼は実際にアニメだけではなく、原作の漫画を先に読むとも語っており、どちらも網羅するほど日本の作品にどっぷり浸かっているのだ。彼は「Romantic Homicide」に登場する目隠しのキャラクターを「itami(痛み)」とも名付けており、日本文化への愛を惜しみなく表現。そんな日本との親和性も高い若き才能・d4vdのバックグラウンドと音楽性を紹介したい。
若くしてアーティストとして話題になっているd4vdだが、彼が音楽活動を始めたのは比較的最近のことである。敬虔なクリスチャン家庭に生まれた彼は、15歳までゴスペルしか聴いていなかったようで、コーラス隊に参加し、ピアノを弾いていたという。しかし、15歳のときにバスに乗っているときにリル・パンプの「Gucci Gang」をたまたま聴いたことにより、XXXテンタシオンなどのアーティストも聴くようになる。そんな彼に音楽的な影響を与えただけではなく、アーティスト活動を始めるきっかけとなったのがゲーム『Fortnite』だ(※3)。
世界で4億人以上プレイヤーがいる人気バトルロイヤルゲーム『Fortnite』にハマっていたd4vdは、ネット上にアップされている『Fortnite』のモンタージュ映像からThe Neighbourhood、Arctic Monkeys、Wallowsなどのインディーロックバンドを聴くようになる。彼の音楽性を形容するうえでインディーロックの存在は欠かせないが、彼はファンとして動画を観るだけではなく、実際に自身も『Fortnite』のストリーマー(配信者)として活動するようになった。
『Fortnite』のプロになることを夢見ていたd4vdは、当時のことを以下のように語っている。
「当時、TSM MythやTSM DaequanなどのストリーマーがYouTubeで有名になっていた。僕らはプロになって、『Fortnite』のサーバーの近くに住んでレイテンシーをなくすためにバージニアに豪邸を買うという計画を立てていた(笑)。だから、みんなでYouTubeのチャンネルを立ち上げて、誰が最初に登録者1000人を超えられるかを競争したんだ。僕はTwitterをやっていて、そこに短い動画を投稿していたから先に登録者数1000人を達成した。それで他の2人は僕より先に諦めたんだ」(※3)。