10周年迎えるBTS、魅力の源にあるメンバーの多様な個性 世界中のファンを魅了する理由を分析
6月13日、BTSがデビュー10周年を迎える。デビュー直後から新人賞を総なめにして頭角を現し、アメリカのBillboardチャートへのランクインやグラミー賞ノミネート、「American Music Awards」での大賞受賞など、これまで数々の記録を打ち立てながら、ファンダムをグローバルに広げていった彼ら。現在は各メンバーのソロ活動が中心で、グループとしての活動は休止中だが、それでもなお世界の音楽シーンではBTSが圧倒的な存在感を示しているように思う。
そのように世界から注目を集め、多くのファンに愛されるグループとなった理由のひとつには、やはり「個性豊かなメンバーが集まり、化学変化を起こして唯一無二の魅力を発揮する」という特徴があるのではないだろうか。そこで今回、デビュー10周年を記念して、改めて各メンバーの個性や役割を振り返りながら、BTSの魅力の源について考えていきたい。
ARMY(BTSファンの呼称)にとっては既知の事実だと思うが、BTSは本当に個性豊かなメンバーが集まっており、スキルや人柄、ルックスまで誰一人として特徴の被る人がいない、非常に多様性に富んだグループである。メンバーの個性や役割を振り返るにあたって、パフォーマンスや楽曲制作、人柄……などなど、さまざまな切り口を考えることができるのだが、本稿は音楽メディアのコラムということもあり、今回は「パフォーマンス」と「楽曲制作」の2軸から各メンバーの役割を振り返りたいと思う。
楽曲制作にも携わるRM、SUGA、J-HOPE
BTSの楽曲は、メンバーが制作に携わっていることも多い。その要となるのは、楽曲制作面において全く異なる特徴を持つRMとSUGAだ。
BTS結成のきっかけとなり、グループの方向性やコンセプトを体現しているRMは、韓国のアンダーグラウンドで行っていた活動経験と自身の内面での葛藤を踏まえながら、緻密に考え抜かれた細やかなディレクションで楽曲制作やプロデュースを行う。特に作詞においては、彼の内省からにじみ出たであろう示唆に富んだ言葉も特徴的。高い楽曲制作スキルで、グループの活動に大きく貢献している。
一方でRMと同じくアンダーグラウンドでの活動経験を持つSUGAは、現在の音楽シーンのトレンドなども見据えながら、磨かれたセンスと感性で多くのリスナーの耳に残るサウンドメイキングを得意とするメンバーだ。音楽評論家のキム・ヨンデもWebメディアのインタビューの中で「大衆的な音楽を作るスペシャリスト」と評しており(※1)、外部アーティストへの楽曲提供も複数手がけている。2021年には三代目 J SOUL BROTHERSメンバーであるØMIのソロシングル「You」のプロデュースを行ったことでも話題となった。
楽曲制作の要としてRMとSUGAを挙げたものの、高いラップスキルを持つJ-HOPEの作詞作曲力も見逃せない。RM、SUGAと共にラップを担当する3人が作詞作曲に携わっているからこそ、BTSならではの楽曲の世界観が広がっていくのだと言えよう。