BUCK-TICK、通算23枚目アルバム『異空 -IZORA-』がチャート上位 意地と貫禄を見せつける見事な最新作
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2023-04-24/
今週のアルバムランキング、1位 UNISON SQUARE GARDEN『Ninth Peel』(約2.2万枚)、2位 BUCK-TICK『異空 -IZORA-』(約1.8万枚)、さらに4位 Metallica『72 Seasons』(約1.4万枚)と、中堅やベテランのロックバンドが上位を占める結果となりました。
デイリーランキングを調べると面白いことがわかります。4月12日発売だったUNISON SQUARE GARDENとBUCK-TICKの新作は、フラゲ日の11日、まず1位と2位に登場。翌日は2位と3位→翌13日は4位と5位と、ぴったり並走を続けました。しかし、14日になり突然1位を奪取したのはこの日がアルバム発売日だったMetallica。その後は3日連続でMetallicaがデイリー1位を独占しています。今週のランキングは、これら発売日の微妙な違いが反映された結果なのでした。
さて、まずはMetallica6年4カ月ぶりの新作『72 Seasons』について。1981年結成、バンドに堂々と“メタル”の名前を冠し、いまや世界で最も成功を収めたヘヴィメタルバンドとなった彼らの新作は、今回もさすが、アグレッシブなヘヴィメタルど真ん中です。ザックザクの高速リフ、止まらないツーバス、力強く吐き捨てる唱法。聴き進めていけばサザンロック風の曲、かなりメロディアスな曲もありますが、全体を通して「これぞMetallica!」のハンコがドカドカ押されまくっているのは間違いない。ここまで自分たちのブランドやルーツに忠実にいられるのって驚異的なことです。年齢を考えればなおのこと。日和らない姿勢はすべてのラウド系バンドのお手本でしょう。
そしてBUCK-TICK。1984年から前身バンドが始まり、メンバーの年代もMetallicaと近しい。これまでメンバーチェンジがなく、今回が通算23枚目のアルバムというのは、世界的に見ても本当に稀な例でしょう。さらに奇跡的な言葉を重ねるなら、今回の『異空 -IZORA-』は過去の22作品を更新していくベスト・オブ・ベスト。デビュー35周年を経て、BUCK-TICKは今が最盛期ではないかと思われます。
ダークなゴシックロック、もしくはエレクトロが入ったニューウェイブ。歌はしっとりした和モノの情緒。BUCK-TICKのイメージはそのような感じだと思いますが、毎回そこにちょっとした逸脱が入ってくるのが面白い。今回で言えばシングル曲「無限 LOOP」がまさかのシティポップ風。「Campanella 花束を君に」はドゥーワップ風の愛らしいナンバー(しかも、歌詞は子供目線で描く反戦歌)。かと思えば「ヒズミ」はどこまでも湿っぽい昭和のフォークソングのような趣で、これらをひとつの作品にまとめてしまうバンドのキャパシティ、すごいなと感服します。