reGretGirl、優しくも熱い万人の心に寄り添う音楽 現時点での集大成を見せた最新ツアー最終公演レポ

reGretGirlが見せた現時点の集大成

 「僕は大阪の和泉市というところで生まれ育ってきましたが、僕の生活の上にいつも踊っているのが恋愛なんすよね。でも、気がつけばその恋愛に踊らされてるのが生活なんすよ。僕にもそういう記憶があります」。そう平部が前置きして始まったのは、「シャンプー」だ。誰もがリアルに想像できる生活感のある情景と、そこで生まれる切ない物語を歌ったこの曲に、観客たちは身動き一つせず聴き入っていた。

reGretGirlライブ写真

 サポートメンバーが再び加わり、苦しい片思いを描いた「ダレヨリ」を披露。壮大なサウンドと、ストレートでキャッチーなメロディが観客たちの心を震わせる。続く「サンシャワー」では高い天井からミラーボールの光が会場全体に降り注ぎ、まるで満天の星空の中でライブをしているかのようなロマンチックなムードを作り上げていた。

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 MCで平部が「ツアー今日が最後なんよ。めっちゃさみしい。みんなのせいです」と冗談交じりに話すと、十九川が「おかげね」とすかさずフォロー。さらに「僕はずっとみんなの隣に居続けたいと思ってるんですよね。きっとみんなも僕らに寄り添ってもらいたいと思ってくれてるのかなと思います。応援するような歌はないけど、隣でずっと手を握っておくことならできます るから。アルバムのツアーを回って色々な思い出ができて、バンドマンはCDを出すだけじゃなくて、ライブをして初めて報われる部分があるなと思いました。reGretGirlの音楽を聴いて救われてますってみんな言ってくれるけど、本当に救われてるのは僕自身だなと。本当にいつもありがとう」と、ファンへの思いを改めて丁寧に言葉にする平部。その思いを音に、歌に込めるように、「Winter winter」を全力で届けた。

 ここからラストスパートへ向けて、再びエンジンをかけていく。聴いているだけで元気がわいてくるような、アップテンポなナンバー「サムデイルーザー」が始まると、自然と手拍子が始まり、観客たちは自由にリズムに乗って身体を揺らし始める。上がったテンションをそのままに、「ルックバック」へ突入。メンバーも自由にステージを動き回り、彼らのエネルギーが会場中に伝染していくように、観客たちのボルテージもどんどんと上がっていく。本編ラストは、アルバムの最後を飾る「tear」。平部は声を震わせ涙をにじませながらも全身全霊で歌い上げ、十九川も髪を振り乱しながら高ぶった感情をぶつけるようにパフォーマンス。前田も残っていた力をすべて振り絞るように激しく叩きつけ、曲の最後には深く長いお辞儀をして感謝の気持ちを伝えた。

 アンコールでは、期間限定でreGretGirlがコラボしているドン・キホーテの公式キャラクター「ドンペン」がスペシャルゲストとして登場。思いもよらない豪華ゲストの登場に会場が大いに盛り上がる中、披露したのは、もちろん「Miracle Shopping ~ドン・キホーテのテーマ~」のカバー。ロックアレンジしたノリのよいサウンドに、ドンペンも短い手をパタパタと動かしながらノリノリになっていた。続いて披露したのは、彼らのキラーチューンである「ホワイトアウト」。イントロから歓声がわきおこったこの曲では、拳を掲げた観客たちがサビのフレーズを大合唱し、感動的な光景を作り上げていた。そして、reGretGirlの楽曲の中で最速テンポという「remind」で大騒ぎしながらフィニッシュ。パワー全開のまま、ラストまで駆け抜けた。

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 “失恋”を軸としながらも、豊かな表現力で多彩な音楽を届けたreGretGirl。彼らの音楽は、日々を生き抜く全ての人の心に寄り添ってくれる優しさにあふれていた。

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