(sic)boy×JESSE、同郷コラボで体現する混沌と光 ロック×ヒップホップを更新する両者の共通点

(sic)boy×JESSE、同郷コラボの必然性

 楽曲は、(sic)boyらしい闇の世界を形成する。その闇はただの闇ではなく、密閉感とは違う、光が差す場所が必ずあるような、そんな暗がりである。

 最も惹かれるのは声の姿だ。唸り声とラップ、叫び声とメロディが同居し、声が多様な在り方を見せる。もともと(sic)boyは、ボーカリゼーションの多様さ、特にJ-ROCKゆずりの歌い上げの抑揚と、その中でラップ、単一的ではないフロウを聴かせるアーティストとして、一際印象的であった。展開の多いKMのトラックももちろん、作品におけるその声の多様さは、ジャンルレスな感覚をそのまま表現していると言えるだろう。

 その中で、JESSEのボーカルは、闇の中で苛烈に火を吹く。所々に瞬間的に現れる(sic)boyのメロディの、ハイトーンの声の甘美さと、ある種対照的に、一つの作品の中に混在する。その様はまるで台風の目。混沌の中で一瞬、そこを抜けた光が垣間見えるようだ。

 闇の中でもがき続ける(sic)boyはまさしくダークホースなのか。自らのスタンスと独自性の強いサウンドを貫く彼の音楽は、本作でより苛烈な姿を見せる。流動的で、カオスで、面倒臭いことに、憂鬱にまみれた世界の中でも、光を見つけることをやめない。そこにこそ、最もエキサイティングなものがあることを、希望と自由があることを信じて。

(sic)boy「Dark Horse feat. JESSE(RIZE / The BONEZ)(Prod. KM)」

■リリース情報
「Dark Horse feat. JESSE(RIZE / The BONEZ)(Prod. KM)」
配信中
https://sicboy.lnk.to/DarkHorse

■オフィシャルリンク
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