多次元アイドルプロジェクト『UniteUp!』、音楽で惹きつける特異性 楽曲を通じてストーリーを体感できる面白さも
今話題の多次元アイドルプロジェクト『UniteUp!』。1月からTVアニメの放送がスタートし、プロジェクトの内容が明らかとなるにつれ、徐々に盛り上がり始めた今注目のコンテンツである。キャラクター造形の美しさはもちろんのこと、アニメーション全体のクオリティが高く、良質な音楽が発表され続けていることも、熱狂を呼ぶ理由だろう。
中でも特筆すべきは、音楽面である。『UniteUp!』が数多あるアイドルコンテンツと異なるのは、キャラクターやアイドル性より先に“音楽”からスタートしていることだ。これは、まさに『UniteUp!』ならではの強みであり、特徴と言えるだろう。
YouTubeをはじめとした配信サイトでは、2021年12月から『歌ってみた動画』と言われるカバー楽曲や、オリジナル楽曲がアップされており、多くの音楽ファンに向けて新しい楽曲と出会える場所を生み出してきた。その間『UniteUp!』が“アイドルプロジェクト”であることは明かされず、魅力的な歌声と良質な音楽、美麗なイラストを活かしたスタイリッシュな動画だけで多くの人を惹きつけたのである。
『UniteUp!』が新しいのは、この先行配信されていた“音楽”で、それぞれのキャラクターの内面が暗に示されていたことだ。アイドルプロジェクトであることが判明しそれぞれのストーリーが描かれている今、プロジェクトの足跡を辿ってみるとアイドルたちが過去にどのような音楽活動をしてきたかを知ることができ、彼らの趣味嗜好や得意とするジャンル、心の動きなどが読み取れる。
カバー楽曲と一言で言っても、誰もが知る名曲やチャートを賑わせているJ-POP、定番のボカロ曲までその表現方法は様々。オリジナル楽曲に関しても自ら作詞作曲を手掛けたものから、佐藤千亜妃や清竜人、DATSのMONJOEと様々な方面からの楽曲提供を受けたものまで、ジャンルや音楽性は多岐にわたる。ここから歌い手であるアイドルたちの目指す音楽性や、才能を読み解くことができる。
このように“音楽”のみで提示されてきたバックボーンがあるからこそ、テレビアニメで描かれている「才能あふれる歌い手たちが結集し、苦難を乗り越えながら良質な音楽を生み出していく」という過程が、次元を超えて体感できるのである。