クレナズム、原点回帰となった新曲「さよならを言えたかな」 多彩な音楽性を活動と共に辿る

クレナズム、多彩な音楽性を辿る

クレナズムにとっては原点回帰みたいなサウンド

ーーでは、新曲「さよならを言えたかな」について。作詞・作曲は、しゅうたさん。生まれ育った鹿児島を離れるときの景色や思いがもとになっているそうですね。

しゅうた:はい。「春っぽい曲」という題材でみんなで曲を持ち寄ることになって。「春って、何があったかな?」と考えてたんですけど、ちょうどその頃、家族と電話する機会がけっこうあって。親がポロッと「鹿児島から出て行って、もう長いね」みたいなことを言ったんですよ。「確かにそうだな」と思ったし、鹿児島を離れた時期や桜をモチーフにして曲を書いてみようと。桜って出会いの季節の花というイメージもあるけど、鹿児島は桜が咲くのが早くて。3月中にはもう散ってることが多いし、別れの季節の花なんですよね。使っていた駅だったり、鹿児島から福岡に行くときの気持ちだったり、家族の会話なんかを思い出しながら書いた曲ですね。MVも、僕が実際に使っていた駅で撮影してもらったんですよ。

萌映:しゅうたの鹿児島のエピソードは今初めて聴いたんですけど、デモを聴いて、歌詞を読んだときから情景が頭のなかにしっかり浮かんで。そのときに感じた気持ちをそのまま表現しました。

クレナズム『さよならを言えたかな』culenasm 『sayonarawoietakana』(Official Music Video)

ーーなるほど。シューゲイザー的な音像とノスタルジックな旋律のバランスも素晴らしくて。

萌映:しゅうたらしいメロディだし、クレナズムにとっては原点回帰みたいなサウンドだと思います。「花弁」(2019年)とかに近しい感じがあって。

しゅうた:みんなで意見を言い合って、エンジニアの方とも相談しながら作っていきました。「こっちもいいけど、こういうのはどうかな」とか……。

萌映:途中、かなり迷いましたね。特にリードギターの音は今までいちばんシンプルというか、あまり歪んでないんですよ。

しゅうた:ギターのリフレインは、桜の花びらが舞ってるイメージなんです。そういう光景を想像しながら聴いてもらえると嬉しいです。

ーーリスナーそれぞれが春の思い出と重ねられる曲ですよね。しゅうたさんは福岡に出たとき、音楽をやると決めてたんですか?

しゅうた:いや、実はそうじゃないんですよ。音楽は小さい頃からずっとやっていたんですが、鹿児島を出たときは、福岡の大学で心理学を学んでカウンセラーになりたいと思っていたんです。結果的に音楽をやってるんですけど(笑)。

ーーそうなんですね! 萌映さんの音楽をやろうと決めたきっかけは?

萌映:私も進学したときは、デザイナーになりたいと思っていたんです。でも、就活を始めた時期に悩んでしまって。そのときにベースのまことに「一緒に音楽をやろう」と誘われたのがきっかけですね。音楽サークルに入っていたんですけど、ずっと音楽は心の支えだったし、演奏したり、歌っているときも「ここが自分の居場所だ」と思っていて。自分がやりたいことをやりたいという気持ちもありました。

ーー5月には大阪、名古屋、東京でワンマンツアー『春のバリよかワンマンツアー 2023』を開催。どんなツアーになりそうですか?

萌映:前回のツアーは没入感を意識していて。そういうライブも得意なんですが、今回は違う面も見せられたらなと思っていて。

しゅうた:明るいクレナズムを見せたいんですよね。

萌映:ポップな曲も増えてきてるので、そういうところも感じてほしくて。

しゅうた:陰と陽というか。お客さんとの絡みも増やしたいと思ってます。お客さんが歓声をあげられるような雰囲気にしたいんですよね。

萌映:自分たちのコミュニケーション能力が大事だね。

しゅうた:ちょっと苦手なんですけど(笑)、がんばって距離を縮めたいなと。

ーー最後に、海外での活動ビジョンについて聞かせてください。クレナズムの音楽ストリーミングサービスへの配信は、海外との連携やプロモーションに強いThe Orchardが担っています。メンバーのみなさんも海外で活動したいという気持ちが強いんでしょうか?

しゅうた:はい。海外でいっぱいライブしたいです。

萌映:フェスにも出たいですね。

しゅうた:3年前に台湾でライブをやったんですけど、お客さんの反応がすごくて。めちゃくちゃ熱狂的だったし、そういう体験をもっとしたいんですよね。

萌映:波打つように盛り上がってくれたんですけど、あんな光景は初めてだったし、すごくうれしかったですね。「萌映ちゃん!」とかメンバーの名前を呼んでくれたり、距離感もすごくよくて。

しゅうた:最近は海外を意識して曲作りすることも増えてきました。みんなでがんばって制作してます。

ーー「10日に1曲提出」は今も続いているんですか?

萌映:今は月に1曲、フルサイズでしっかり作るようにしてるんですよ。

しゅうた:そのままレコーディングできるくらいまでクオリティを上げて、渾身の1曲を提出する感じですね。

萌映:構成もしっかり考えるようになりましたね。他のメンバーが作ってくる曲も気になるし……。

しゅうた:みんなライバルです(笑)。

■リリース情報

『さよならを言えたかな』
発売:2023年3月1日(水)
配信:https://orcd.co/sayonarawoietakana

■ライブ情報
『春のバリよかワンマンツアー2023』
5月20日(土)大阪 梅田Shangri-La
5月21日(日)愛知 名古屋CLUB UPSET
5月27日(土)東京 代官山UNIT
チケット:https://t.co/nz86A5NjJe

オフィシャルサイト
https://www.culenasm.com/

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