秋元真夏、乃木坂46で培った“大切”が全て詰まった卒業コンサート バラエティ豊かな演出で笑いと涙が絶えないステージに

秋元真夏、“大切”が詰まった卒業コンサート

 乃木坂46のデビュー11周年を祝福するバースデーライブ『11th YEAR BIRTHDAY LIVE』(通称“バスラ”)が2月22〜26日の5日間、横浜アリーナで開催された。初日を全体ライブ、2日〜4日目が5期生、4期生、3期生がそれぞれ期別ライブを行なうことで乃木坂46の“今”をダイレクトに伝え、次世代を担うエース級メンバーが多数存在することを証明してみせた。

 そして、2023年のバスラ最終日を飾るのは秋元真夏の卒業コンサート。1期生として2011年8月にオーディションに合格するものの、学業を理由にそのまま活動休止。CDデビュー後の2012年秋にグループに合流し、4thシングル『制服のマネキン』(2012年12月発売)から本格的に乃木坂46の一員として活動をした秋元だが、2019年夏には初代キャプテンの桜井玲香に代わり、2代目キャプテンとしてグループを牽引。昨年末に同期の齋藤飛鳥の卒業を見送り、最後の1期生としてアイドル人生ラストステージを迎える。

 これまでもテレビ番組やライブ、あるいは“真夏さんリスペクト軍団”での活動などを通じて、その自己プロデュース力の高さを大いに見せつけてきた秋元が、選曲から演出、楽曲参加メンバーまで含め自身の意見を反映させ作り上げた卒業コンサートで、我々に何を見せ、何を残すのか。後輩たちが逞しく成長したことをアピールした1〜4日目の公演を観たあとだけに、筆者はその内容が非常に気になっていた。そして、実際に提示されたその卒業コンサートは、我々の想像を絶するほどに“アイドル秋元真夏”のさまざまな側面が詰め込まれた、テーマパークのようにバラエティ豊かな内容だった。

 開演前にスクリーンに映し出されたライブの注意事項を告げる映像には、『乃木坂工事中』(テレビ東京系)での「黒見明香の証明写真がカマキリに似ている」というネタを受けて、カマキリの着ぐるみを着た黒見が登場。会場がざわめく中、岩本蓮加&筒井あやめが影ナレを務めると、今度はテレビアニメ『SPY×FAMILY』の登場キャラクター、アーニャ・フォージャーの声で突然「秋元真夏 卒業コンサート、始まるます。寂しいけど、よろろすお願いするます」のナレーションが始まり、場内はさらに驚きの声が上がる。これは『SPY×FAMILY』の作者・遠藤達哉が乃木坂46や坂道グループの大ファンであり、これまでにも自身のTwitterで秋元とアーニャを関連づけたイラストを披露してきたつながりから生まれたサプライズなのだろう。開演前から繰り出される持ち前のサービス精神旺盛さに、ライブ本編はどうなってしまうのか? とワクワクさせられたのは、きっと筆者だけではなかったはずだ。

 実際、そのライブは選曲や演出など、細かなところにまで神経が行き届いた、非常におもてなし精神に満ち溢れた内容だった。ライブ冒頭を飾った「ぐるぐるカーテン」「おいでシャンプー」「走れ!Bicycle」は秋元がグループに合流する前の楽曲だが、オリジナルメンバーで披露する映像を背にパフォーマンスした意図について彼女は「当時の1期生がグループを広めるために戦ってくれたから、今の乃木坂46がある。そんな曲を卒業生のみんなと、現役メンバーと一緒に歌いたかった」と説明。そこを踏まえて、彼女にとって真のデビュー曲である4thシングル曲「制服のマネキン」がスタートすると、リリース当時を彷彿とさせるセーラー服を身にまとったメンバーたちが同曲のMV映像をバックに、オリジナルに忠実な振り付けで「制服のマネキン」の世界観を再現していく。同曲のMV撮影時にはできないことが多すぎて涙することが多かった秋元も、自身がセンターに立つことで成長した姿をアピールし、アイドルとしてのラストステージで有終の美を飾ろうとする気概が伝わってきた。

 また、この日のステージからは成長した姿を見せてファンに安心してもらうという思いだけではなく、アイドルとして、乃木坂46の一員としてやり残したことも、この場で全部やり尽くしてしまおうという姿勢で臨んでいることが伝わる。例えば、「ガールズルール」冒頭の「横アリ、騒げーっ!」という煽りもこれまで一度もトライしていなかったし、3〜5期生の期別曲に参加することもこういう機会でもなければ実現していない。3期生曲「僕の衝動」のエンディングでは、お馴染みの伊藤理々杏のキメ顔連発に秋元も挑むなど、笑みが絶えない瞬間が続く。

 その一方で、ユニットブロックでは秋元セレクトによるユニット編成で、思い出の楽曲や一度歌ってみたかったナンバーが連発される。落ち着いた雰囲気の「口約束」、王道アイドル感の強い「ごめんね、スムージー」といった人気曲を経て、「私は笑顔のイメージが強いけど、カッコいい表情に憧れる。最後にカッコよくキメたい」のメッセージとともに披露されたのが「魚たちのLOVE SONG」。クールにダンスをキメるのかと思いきや、ステージに現れたのは魚の着ぐるみ姿の秋元だった。会場がなんとも言えないざわめきに包まれると、続いて魚やタコの着ぐるみ姿の筒井、山下美月が加わり、真剣な表情で歌を届ける。さらに、カマキリ姿の黒見も合流。乃木坂46内のバラエティ女王らしいこの振り幅の大きい演出に、先ほどまでとは違った意味での笑いが込み上げてきたことは特筆しておく。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる