甲田まひる×かとうみさと、相思相愛な関係が生んだ「CHERRY PIE」MV制作秘話 『今夜すきやきだよ』にちなんだ恋愛トークも
「表現力が高すぎて、大変だったことは全くない」(かとう)
ーーここからは、かとうさんも交えてMVの話を伺います。まず、お二人が今回ご一緒にすることになったきっかけから教えてください。
かとうみさと(以下、かとう):元々2年前くらいから友達だったんだよね。
甲田:そうそう。共通の知り合いが多くて。実はこれまでのMV撮影のときも監督候補にみさとちゃんを挙げていて、いつかご一緒できたらいいなと思ってたの。
かとう:私は最近ドラマの監督をやることもあるから、「タイミングがあったらまひるちゃん、女優やってくれないかな」って思ってた(笑)。そしたら先にまひるちゃんのMVでご一緒できることになって。
甲田:「CHERRY PIE」が出来上がったときに「これはみさとちゃんだ!」って思ったから、一番いいタイミングでお願いできてよかったかも。
ーーかとうさんは楽曲を聴いた印象はいかがでしたか?
かとう:友情や恋愛だけでなくいろんな意味に捉えられる、間口の広い曲だなと思いました。それゆえに、MVを切ない感じにしてもいけるだろうし、ポップにしてもいけるだろうと思って、どんなイメージにするか迷いましたね。ただ、まひるちゃんの中にすでにMVのイメージができていたので、それを元に意見を出しながら進めていきました。
甲田:私はこの曲で踊りたかったのと、料理人になりたいというイメージがあったんですよね。現実味がないものが好きなので、可愛い世界観なども取り入れながら作りたいなと思っていました。画像でイメージを共有しながら進めてたんですけど、みさとちゃんの描いてくれた絵コンテがめっちゃ可愛くて。全コマ手描きで、スタッフさんもみんな可愛いって言ってました。1回の打ち合わせでイメージを共有して、すぐ本番だったよね。
かとう:年末年始を挟んでたから、時間もなくて(笑)。
甲田:セットを見たのも当日だったけど、すごくうまくハマったよね。
ーー事前のイメージがきちんと共有できていたんですね。かとうさんなりのMVのテーマはあるんですか?
かとう:チェリーパイをモチーフにした曲だから、料理人に扮した方がいいなとは私も思っていました。あとはテニスウェアを着てバドミントンをするシーンがあったり、まひるちゃんがミニチュアに見えるような魚眼レンズで撮ったり。全体的に不思議で可愛いイメージになるといいな、と。
甲田:テニスウェアでバドミントンはびっくりした(笑)!
かとう:まひるちゃんが可愛いので、アイドルっぽくなりすぎないようには意識しましたね。まひるちゃんからもらったプロットも可愛いだけにならないような内容だったので、うまく一致していたかなと思います。
ーー甲田さんはいつもスタイリングがおしゃれですが、衣装などのこだわりはありますか?
甲田:アメリカンなチェリーパイが置いてありそうな、ダイナーの制服をイメージしました。あと、今回のために髪を切りました。髪が長いと甘くなりすぎちゃうかなと思って、毒っぽさを出すために黒髪ボブにしたんです。
ーーたしかに、髪を切ったことでクールさが加わった印象があります。かとうさんはこれまでにもさまざまなアーティストのMVを手がけていますが、作品を作る上で意識していることはありますか?
かとう:曲を聴き込んで歌詞を自分なりに解釈するんですけど、歌詞に寄り添いすぎないようにしています。歌詞に寄り添いすぎると、世界観が狭まってしまうんですよね。それと、「あれってこのMVの曲だよね」って説明できるような、中心となるコンセプトを作るようにしています。今回はキッチンですが、全然関係ないものを入れるのもありだと思っています。
甲田:みさとちゃんの作品は、みさとちゃんが撮ったってわかるよね。アーティストのジャンルもコンセプトもバラバラなのに。表現の幅が広くてすごい。
ーー今回一緒にお仕事したことで、お互いの印象は変わりましたか?
かとう:セルフプロデュースがすごいなと思いました。まひるちゃんはこれまでピアノやモデルもやっていたので表現に長けているとは持っていたんですけど、曲に対してここまで細かくイメージできる人ってなかなかいないと思うんですよね。
コミュニケーションを取るのも上手なので、歩み寄りながら「こうしたい」っていうのを伝えてくれます。だから周りのスタッフさんたちも、まひるちゃんのためにベストを尽くしたくなるのかなと。
甲田:これまで、みさとちゃんは一緒にごはんを食べながら恋バナとかする仲だったので、お姉ちゃんのような存在だったんです。仕事もすごく丁寧だし、自分にはないものを持っている憧れの存在になりました。
ーーお互いへのリスペクトがあるんですね。MV制作で大変だったことはありましたか?
かとう:まひるちゃんの表現力が高すぎて、大変だったことは全くないですね(笑)。今回はプロデューサーもよくアーティストを撮っている方で、「まひるちゃん、ダンスどのくらいやってるんだろうね」「モデルもやってたし、小さい頃からずっとやってたんじゃない?」って話してたんです。そしたら1年半くらいって言われて、みんなでびっくりしてました。
私が「今の言葉足らずだったかな、もっと説明すればよかった」と思うことがあっても、ちゃんと意図を汲み取ってくれてるんですよね。自分から「今これやった方がいいかな?」と聞いてくれる先回り力もあるし。まひるちゃんはたくさん踊ったから大変だったと思うけど、私は全然大変じゃなかったですね。
甲田:できるだけ監督さんがどういうイメージを持っているかは、意識するようにしていますね。ただ、特に一発目の撮影はすごく緊張するので、モニターでチェックしたときに「意外とこうなってるんだ」と気づくことも多いです。私はまだMV撮影の経験が多くなくて、監督さんも毎回違うので、探り探りです。慣れたらもっと上手くなれるのかなとは思うんですけど。
かとう:もう上手いよ〜(笑)。でも緊張するのは意外かも。
甲田:何事にも緊張するタイプなんですよね。あまり表には出さないようにしていますけど。