ExWHYZ、6人の完全体となって沸かせたフロア クールなパフォーマンスに感謝を込めた『First Tour xYZ』ファイナル

ExWHYZ、完全体で沸かせたフロア

 2022年11月から全国を回ってきた『ExWHYZ First Tour xYZ』が1月12日、Zepp DiverCity(Tokyo)でファイナルを迎えた。1stアルバム『xYZ』に刻んだ自分たちの新しい姿を全力で表現しながら、前身であるEMPiRE時代から築いてきたファンとの絆をさらに強固なものにするような、愛と感謝に溢れたステージだった。活動休止していたメンバーの復帰、さらには次なる展開の発表とトピック盛りだくさんだったライブの模様をレポートする。

 まずステージに登場したのは「オープニングアクト」の元EMPiRE。位置につき、歌い始めたのは「FOR EXAMPLE??」だ。アッパーなビートにフロアは瞬間沸騰、それまで緊張感に包まれていたZepp DiverCityが一気に熱い盛り上がりを見せる。さらに「IZA!!」のキレキレのダンスを手拍子で応援するオーディエンス。ステージ上の5人も笑顔を見せている。観客と息を合わせての決めポーズもバッチリだ。「元EMPiREです!」と自己紹介すると「Don't tell me why」をセクシーに届け、あっという間に最後の曲に。mayuが「最後まで楽しもう!」と叫んで「S.O.S」を繰り出し、全力のパフォーマンスでライブを終えた元EMPiRE。マスター(ファンの総称)たちの温度を高めて体をほぐすという意味ではこれ以上の「オープニングアクト」はない。と同時に、この後始まっていったExWHYZのライブと並ぶことで、彼女たちがどのように生まれ変わったのかをはっきりと示す役割も、この日の元EMPiREは持っていた。

 5人が去ったステージには白いスクリーンが引かれ、さっきまでとは違うムードが漂う。転換中に流れていた音楽が止み、そのスクリーンに、活動休止中だったmidorikoが参加した「あいしてる」のMVが映し出されると会場中から大きな拍手が巻き起こる。それにしてもメンバーの繊細な表情を丹念に捉えていて、このMVは素晴らしい。そして、いよいよExWHYZのステージがスタート。アルバムのオープニング曲である「xYZ」が始まり、重いビートに合わせて手拍子が起きると、スクリーンに6人のシルエットが浮かび上がる。そう、6人だ。観客が沸き立たち、「xYZ」から「D.Y.D」へとシームレスに切り替わったところでスクリーンが取り払われると、そこに現れたのは活動を休止していたmidorikoを含む6人、完全体のExWHYZだった。

 ライブはそのまま「D.Y.D」へと突入する。ハードなサウンドに合わせて6人のダンスもますますハードに、切れ味鋭くなっていく。レーザーが飛び交う中で繰り広げられる挑戦的で大胆なダンス。さっきまでの元EMPiREとは明らかに違う。振り付けだけでなく、メンバーの目に宿る光も、グッと鋭くなっているように見える。音源でもそうだったが、ExWHYZの音楽はどちらかといえばハイブローだ。日本というよりも、世界のポップミュージックシーンと同期するようなサウンドデザインとビート感。エッジの立たせ方がEMPiRE時代とは違うと言えばいいのだろうか。だが、だからといってそれだけでは観客は置いてきぼりを食らってしまう。そうならないように楽曲のバランスもメンバーのパフォーマンスも、かなり緻密に組み立てられていることがライブを観ていても伝わってくる。例えば3曲目に披露された「Obsession」。この曲もハードなエレクトロチューンだが、メロディはポップで、かつそれを歌い踊る6人のパフォーマンスもキャッチーだ。

 「Higher」の最後に全員で肩を組んで終わるところなどは、こうして6人が揃った状態だとなおさら物語を感じる。歌い終えてひとりずつ自己紹介すると、midorikoは「ただいま」と言って拍手を浴びる。彼女の帰りを待っていたyu-ki、mayu、maho、mikina、nowの5人も嬉しそうだ。そして「みんなでライブを一緒に楽しむための曲を持ってきちゃいました!」とmikinaが言うと、観客への振り付けレクチャーを経て、アルバム未収録の楽曲「Shall We」を披露。これが「みんなで楽しむ」という言葉通りなオーディエンス参加型のアッパーチューン。1階席も2階席も含めて大盛り上がりだ。

 すっかり温まったフロアを前に、その後も全力のライブが展開されていく。バキバキのビートと電子音がZepp DiverCityに一気にクラブの空気を持ってきた「WEEKEND」、2人ごとのユニットでのダンスやアンニュイな歌の表情も印象的だった「4:00 a.m」を経て「You & Me」へ。ここでもオーディエンスの手拍子が6人をバックアップする。それにしても曲ごとに多彩な表情を見せるグループだ。アルバムを聴いた時点でそう感じていたが、こうしてダンスが加わるとその印象はいっそう強まる。その大きな振れ幅の中で、ExWHYZとしての新しい姿を見せつけつつ、EMPiRE時代からついてきてくれているファンに対してもしっかり自分たちの想いを届ける。単に「生まれ変わりました、よろしく」ではない難しい舵取りを、きっと彼女たちはこのツアーを通してやってきたのだろう。MCでのなんだか安心するような取り留めのない話(midoriko復帰に際しての決起会としてメンバー全員でしゃぶしゃぶに行ったそうで、この日はそのときのエピソードを披露していた)も、変わらない6人の姿を改めて伝えるために大事な役割を担っていたように思う。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる