松下洸平、音楽で届ける“つながり”の大切さ シンガーとしての誠実な魅力が溢れた『POINT TO POINT』東京公演

松下洸平、音楽で届ける“つながり”

 松下洸平が12月27日、自身最大規模となる全国ツアー『KOUHEI MATSUSHITA LIVE TOUR 2022〜POINT TO POINT〜』(9都市11公演)の2022年内ファイナル公演を東京・昭和女子大学人見記念講堂で開催。1stフルアルバム『POINT TO POINT』の楽曲を中心に、観客と自分自身をダイレクトにつなぐ充実のステージを繰り広げた。

 開演前のBGMは、R&Bバンド Mint Conditionの楽曲。開演が近づくにつれて、今か今かとスタートを待ち望む熱気で会場が包まれていく。

 そして18時30分ちょうどにライブがスタート。オープニング映像とSEに合わせて、観客は手拍子を送る。バンドメンバーに続いて松下がステージに登場すると、客席は歓喜に包まれた。オープニングは、軽快なギターカッティングを軸にした「リズム」。続く「Color of love」では松下がダッシュでステージ左右に移動し、「楽しむ準備はできていますか!?」と叫ぶ。「またライブに来たいと思ってもらえるような時間にしたいと思います!」というテンション高めのMCを含め、彼自身もこのステージを全身で楽しんでいることが伝わってきた。

 この後もアルバム『POINT TO POINT』の楽曲を次々と披露。「エンドレス」は、「5年ほど前に、小さなスタジオで一人で弾き語りで作りました」というバラードナンバー。さらに松尾潔プロデュースによる“2度目の”デビュー曲「つよがり」も歌い上げた。俳優として活動しながら、地道に楽曲制作やライブを続け、2021年に再デビューを果たした松下だが、この2曲からは、この数年間の軌跡が伝わってきた。

 MCを挟んで披露された「体温」は、今年発売された1st写真集『体温』と同じタイトル。写真集、そして歌詞のシチュエーションと重なる映像とともにパフォーマンスする演出に、会場中が息を呑むようにステージへ視線を注いだ。

 「あなた」「One」は、ギタリストのカンノケンタロウとのアコースティック形式で演奏された。カンノと松下の出会いの場は、2人が通っていた音楽学校。当時から一緒に楽曲を作ったり、路上ライブを行っていたという間柄だ(※1)。その後、松下は俳優として、カンノはNulbarichのギタリストとして名を知られるようになるが、松下の再デビューを機に合流。この日も息の合ったステージを披露した。「やっていることは15年前と同じなのに、目の前の光景だけが変わっていて。本当に嬉しいです」という松下の言葉も心に残った。

 「よかったら一緒に踊りませんか?」と観客に声をかけ、「Only you」からライブは後半へ。強靭なダンスビートと派手なレーザービームが絡み合う「ハロー」、ポップに振り切ったメロディや〈キミはキミの味方でいて〉という前向きなラインが響き合う「Way You Are」などをつなげ、会場全体を心地よい高揚感で包み込んだ。R&Bからエレクトロまで多彩なサウンドを自在に乗りこなしながら、ダイレクトに歌を届ける姿も印象的。どんなスタイルの楽曲においても、言葉とメロディを丁寧に伝える。それこそ、シンガーとしての松下洸平のストロングポイントなのだと改めて体感できるシーンだった。

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