マリウス葉、卒業までの5日間 それぞれの形で人々の幸せを願うSexy Zoneの物語

Sexy Zone 「Sexy Zone」 (short ver.)

 11年前、平均年齢14.4歳でデビューしたSexy Zone。ジャニーズJr.内ユニットとして苦楽を共にすることもなく突然結成されたグループに、ファンはもちろんメンバー自らも驚きが隠せなかった様子だったのを覚えている。

 それまでジャニーズJr.を牽引してきた中島健人と菊池風磨にとっては予想外のタイミングとメンバー構成だっただろうし、そんな人気者な先輩たちを差し置いてセンターに立つことになった佐藤勝利は戸惑ったことだろう。そして、まだ経験の浅い中シンデレラボーイ的に抜擢された松島聡とマリウス。マリウスに至っては日本の生活そのものも不慣れな11歳という若さだった。

 年齢も実力もバラバラで、グループとしてのまとまりもまだこれから。それぞれが心に抱いている“これから目指していくもの”も共有できていない状態からのスタートは、10代の彼らにとって過酷なものだったに違いない。

 しかし、そんな逆境でも、彼らは健気に目の前のものに取り組んできた。それはマリウスから発信される博愛の精神が影響してきたように思う。12月27日のインスタライブではメンバーに「もっとギュッとしよう」と声をかけたマリウス。そんなふうに5人で集まったときにいつも「ちゃんとしよう」とグループを律してきたのはマリウスだった気がする。自分も、ファンも、スタッフも、Sexy Zoneに関わる全ての人が幸せになれるように……。そんな最年少の広い視野としっかりしたポリシーが、Sexy Zoneというグループの成熟に繋がっていったように思う。

 しかし、だからこそ壁にぶつかったこともあっただろう。自分も他者も幸せになってほしいという平等の精神は、芸能界という特殊な世界ではバランスを取るのが難しいこともある。その幸せにする手法もいろいろあることを知ったマリウスは、新しい方法でより多くの人を幸せにしていきたい、そう願ったのだろう。

 そして、そんなマリウスのスタンスを誰よりも知るメンバーが「何度も話し合いをした結果、4人のお兄ちゃんは『マリウスの健康と夢を応援するよ』と」背中を押したのも頷ける(※1)。みんなが幸せになる方法を見つけていく。そのためには、たとえぶつかることがあったとしても、恐れずに突き進む。それがSexy Zoneというグループが、そしてマリウスが11年かけて私たちに見せてくれた物語だ。

 振り返ってみればマリウスはよくメンバーと喧嘩をしていた。可愛さ余ってマリウスをイジってしまった菊池に対して本気で怒って言い争ったこともあったし、佐藤とはラジオ番組『Sexy ZoneのQrzone』(文化放送)の収録中(2019年8月21日放送回)にちょっとしたすれ違いから揉めてしまったこともあった。また、松島とは雑誌の取材現場でもまるで兄弟喧嘩のようなやりとりが繰り広げられ、ときには別室にこもって話し合いをしたなんていうエピソードも聞こえてきた。だが、それほどぶつかりながらも、仲直りをするために「アルプス一万尺をしよう」(『Sexy ZoneのQrzone』2017年9月26日放送)なんていう可愛らしいやりとりが見受けられたのも、また微笑ましかったのを覚えている。

 Sexy Zoneがこれだけぶつかることができたのも、そしてその分だけ仲直りすることができたのも、マリウスという真っ直ぐでピュアな末っ子がいてくれたからに違いない。そして、そんなマリウスがグループを卒業するという決断も、それを応援できるという4人の心持ちもSexy Zoneが成熟している証といえるかもしれない。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Sexy Zone(セクシーゾーン)(@sexyzone_j)がシェアした投稿

 1月6日に放送されたドキュメンタリー番組『連続ドキュメンタリー RIDE ON TIME』(フジテレビ)で「本当にアイドルになって良かったなって思いました。もちろん苦しいこともいっぱいあったけど、でも決して後悔はしていません」と語っていた。

 今は一緒に活動しないことになったけれど、いつかまたそれぞれの幸せを追求した結果、彼らの道が重なる日がくるかもしれない。そんなふうに希望と夢を抱かせてくれたこと。これが5人のSexy Zoneの終わりではなく、まだまだストーリーは続いていくことを信じさせてくれた彼らのアイドルマインドに改めて感謝したい。そして、ずっと応援していこうではないか。4人のSexy Zoneも、世界のどこかで幸せを追求し続けていくマリウスのことも。

※1:https://www.johnnys-net.jp/page?id=text&dataId=2293&artist=24

中島健人が語ってきた二宮和也への愛とリスペクト 映画『ラーゲリより愛を込めて』で受けるさらなる刺激

二宮和也主演の最新映画『ラーゲリより愛を込めて』がいよいよ12月9日に公開される。原作は辺見じゅん著の『収容所(ラーゲリ)から来…

関ジャニ∞、Hey! Say! JUMP、Sexy Zone……12月はドーム公演ラッシュ 各グループの見どころを整理

早いもので2022年も残すところあと1カ月半。そんな1年の締めくくりを飾るように12月にはジャニーズグループのドーム公演が続々と…

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる