SUPER BEAVER、一人ひとりの“あなた”に届けた全国アリーナツアーファイナル 終始一貫した観客と向き合う姿勢
12月25日、SUPER BEAVERの4都市8公演にわたる全国アリーナツアー『都会のラクダSP ~東京ラクダストーリービヨンド~』の最終公演が、ポートメッセなごや 新第1展示館にて開催された。ありふれた言葉であることを承知の上であえて言い切ってしまえば、まさに全編がハイライトのような凄まじい一夜だった。この記事では、WOWOWでも生中継された本公演の模様を振り返っていく。
開演と同時に、柳沢亮太(Gt)、上杉研太(Ba)、藤原"34才"広明(Dr)がそれぞれ奏で始めた音が一つに重なっていき、それを受けて渋谷龍太(Vo)がゆっくりとステージイン。昂るバンドアンサンブル。その上に重なる一人ひとりの観客の手拍子。会場全体の熱量が次第に高まっていく。そして、渋谷がステージ中央から伸びる花道の先頭に立てられたスタンドマイクのもとへと辿り着き、そのままオープニングナンバーの「東京流星群」へ。渋谷は、〈僕の宝だ〉という歌詞を〈俺たちの宝だ〉と替えて叫んだ。なんてドラマチックな幕開けだろう。立て続けに披露された「スペシャル」では、〈何があっても 何がなくても あなたがいないと〉と歌い、「証明」では、〈大袈裟なことを言うと 結局あなたがいないと僕の全部/意味を持たないとわかった〉と歌う。〈あなた〉とは、ライブ会場に集まった一人ひとりの観客、また画面の向こうからライブに参加する一人ひとりの視聴者のことだ。他でもない〈あなた〉に向けた4人の想いは、この夜、何度も繰り返して歌い鳴らされていくことになる。
この日初めてのMCパートで渋谷は、「本日がツアーファイナルだからといって、特別なことをする気は残念ながら一切ないです」「今まで俺たちがやってきたみたいに、18年目の新人として、今夜を歴代で、過去最高の夜にすることしか俺たちにはできません」「だからこそ、俺たちだけでやる音楽ではなく、あなたとつくる音楽をやりたいと思っています」と力強く語った。SUPER BEAVERというバンドのライブに対するスタンス、そしてファンへ向けた想いは、やはりブレない。バンド史上最高の一夜をつくりあげるために、4人は、愚直に、懸命に、一つひとつの音と言葉を〈あなた〉に向けて送り届ける。「ラヴソング」も「突破口」も「VS.」も、ライブ前半とは思えないほどの熱量を放っていて、観ていて何度も胸が熱くなった。