SixTONES、「Boom-Pow-Wow!」から感じるデビュー前の姿 新しい音楽性と長年のファンの期待に応えるバランス
SixTONESにとって、2022年はとても大きな飛躍の1年になったと思う。まず特筆すべきは、年明けにリリースした2ndアルバム『CITY』だ。この作品には、常田大希(King Gnu/millennium parade)の提供曲「マスカラ」や、ボカロP・くじらの提供曲「フィギュア」をはじめ、現行のポップミュージックシーンを牽引するクリエイターとタッグを組んだ野心的な楽曲が数多く収録されていた。個人的な話にはなってしまうが、筆者が2022年の1年間を通して、宇多田ヒカル『BADモード』と、The 1975『Being Funny In A Foreign Language』に並び、何度も繰り返して聴き込んできたアルバムの一つが、この『CITY』だった。全編から、アイドルポップスの歴史を革新しようとする6人の熱い気概が伝わってきて、聴きながら何度も強く心を動かされた。筆者のケースはあくまでも一例に過ぎないが、SixTONESの音楽に触れて、彼ら6人の次の動向から目が離せなくなっている音楽ファンは少なくないと思う。
『CITY』のリリース後、半年間にわたるアリーナツアー『Feel da CITY』を開催しながら、その狭間に2枚のシングル『共鳴』『わたし』をリリース。また、そうしたグループの活動と並行して、ドラマや舞台への出演をはじめとしたメンバー個々の活躍も一気に増えた。特筆すべきは、新海誠監督の最新作『すずめの戸締まり』における松村北斗の声優デビューだろう。こうした各メンバーの活躍は、間違いなくSixTONESの名を世に広める足掛かりを作ったはず。もちろん、6人はまだまだ現状に満足などしていないと思うが、2023年により大きなブレイクスルーを実現するための準備は確実に整っていると言える。
そして、このタイミングで世に放たれたのが、1月4日にリリースされる3rdアルバム『声』のリードトラック「Boom-Pow-Wow!」だ。すでに、『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)をはじめとした年末の音楽番組で披露されているため、同曲のライブパフォーマンスを目にした人も多いと思う。先に結論から書いてしまえば、この曲はデビュー以降から続くSixTONESの音楽的挑戦の旅路の延長線上にありつつ、同時に、デビュー前から応援し続けているファンの期待に最大限に応える楽曲であった。