-真天地開闢集団-ジグザグ、飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大する参拝者の輪 カリスマ性とエンタメ精神が爆発した日本武道館公演

ジグザグ、日本武道館ライブレポ

 2022年11月15日、-真天地開闢集団-ジグザグ(以下、ジグザグ)が東京・日本武道館で単独禊(ライブ呼称)『慈愚挫愚』を開催した。“愚かな者に救いの手を差し伸べる”をコンセプトに2016年より本格始動したジグザグは、インパクトの強いビジュアルと多彩な音楽性、ユニークなメンバーのキャラクター性で注目を集めるヴィジュアル系バンド。元々は関西を中心に活動していたが、地上波TV番組や様々なロックフェスに出演を果たし、今年春にはZepp4会場を含むキャリア史上最大規模の全国ツアーを開催。すさまじい勢いで全国各地に参拝者(ファン呼称)を増やしていき、この日ついに日本武道館に立ったのだった。

 チケットはソールドアウト。当初予定した数のほとんどがファンクラブ先行で売れ、その後注釈付き指定券(見切れ席)が追加されるも、最終的に一般発売で開放されたのはたった10枚だったという。会場を見回すと、女性はもちろん、男性や親子連れなど、様々な参拝者たちが2階スタンドの最後列(立ち見もあり)までを埋め尽くしていた。

 記念すべき初日本武道館の幕開けは、「タガタメ」。割れんばかりの盛大な拍手を切り裂くように、鮮やかなギターのリフが鳴り響き、3人の姿が現れる。命 -mikoto-(Vo)の伸びやかな歌声と、龍矢 -ryuya-(Ba)の重厚なベースサウンド、影丸 -kagemaru-(Dr)の地響きのような力強いドラミングで、初っ端からジグザグの世界観が一気に花開いていく。ステージにかかっていた紗幕が落ちると再び盛大な拍手がわきおこり、「Promise」が始まるとその拍手は手拍子へと変わっていく。煌めく光のような壮大なサウンドは、これから始まるライブへの期待を高めてくれた。

-真天地開闢集団-ジグザグライブ写真
命 -mikoto-

 ステージに立つ3人の神々しい姿と心揺さぶる音に圧倒されていたが、次に始まったのは「メイドカフェに行きたくて」。照明がピンク色に切り替わり、メイド服を着たメンバーのMVがスクリーンに流れると、シリアスなムードは一変し、コミカルでキュートなステージが始まる。客席はヘドバンと折り畳みの嵐が巻き起こっていた。ベースラインが印象的な「コノハ」では、疾走感溢れるメロディに合わせて拳を突き上げる観客たち。多彩な曲を通して、会場のボルテージはどんどんと上がっていった。

 MCパートは、大舞台だからといってかしこまった空気などは一切なく、命 -mikoto-が関西弁のくだけたトークで盛り上げる。龍矢 -ryuya-と影丸 -kagemaru-も無邪気な笑顔で手を振り、演奏中とはまた違う一面を覗かせた。命 -mikoto-はびっしりと埋まった客席を見回し、「ほんまに広いなぁ。あ、Twitter見ましたよ。『ファンクラブ入ってる意味ないやんけ! 寧ろファンクラブの人を後ろにしてるんちゃうか』ってあったけど、そんなことしません(笑)」と軽いトーンで言いながら、先に記した通りチケットのほとんどがファンクラブ先行で売れてしまったことを明かす。最後には「後ろの人も楽しんでもらえるようにそっちまで愛をぶん投げますんで、ファンクラブ辞めないでください!」と懇願しながらも、どの席にいても必ず全員楽しませることを真正面から宣言した。

 その言葉通り、この後のライブは怒涛の展開へ。影丸 -kagemaru-のパワフルなドラムが印象的な「僕ノ旋律」、切ない恋愛をキャッチーなメロディに乗せた「嘘つき」、武道館中が一斉に同じ振り付けで踊り出す「ニイハオ・ワンタンメン」、命 -mikoto-の美しい歌声が存分に堪能できるバラード曲「五月ノ雪」と、多彩な楽曲を続けざまに披露。この凄まじい振り幅こそが、彼らの大きな魅力の一つだろう。

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