ドレイク、21 Savageとのコラボで“アグレッシブなスタイル”へ これまでにないリリシズムから垣間見えたスキル

 そのアグレッシブなリリックには、ミーガン・ザ・スタリオン、カニエ・ウェスト、D.R.A.M.、そして元交際相手 セリーナ・ウィリアムズの夫に対しての揶揄も含まれており、特にミーガン・ザ・スタリオンの銃撃事件を揶揄するような内容や、ミソジニスティックとも言える歌詞は物議を醸している。逆に21 Savageは「Spin Bout U」や「3AM on Glenwood」のような曲で、ドレイクの得意分野とも言えるラブソングや感傷に浸るようなスタイルを披露しており、今まであまり聴くことがなかった21 Savageや、彼自身の成長し続けるアーティスト性も体験することができる。

 『Her Loss』はドレイクのコラボ相手にスタイルを合わせる能力の高さがわかる作品となっている。2015年にリリースされたアトランタのラッパー Futureとのコラボアルバム『What A Time To Be Alive』でもその能力を垣間見ることができるが、同作がFutureに感化されたアトランタのストリップクラブだとしたら、『Her Loss』は21 Savageに感化されたアトランタのストリートと言えるだろう。

 また、トラヴィス・スコットがアルバム唯一のゲストとして「Pussy & Millions feat. Travis Scott」に参加していることも注目ポイントであろう。トラヴィス・スコットは、2021年11月に自身の主催フェス『Astroworld Festival』で観客10名が亡くなり、数百名が怪我をした事件があって以来、しばらく活動を自粛していた。「Pussy & Millions」は、トラヴィスにとって2022年3曲目のゲスト参加になるが、話題作に参加したことによりトラヴィスが新アルバム『Utopia』に向けて本格的に活動を再開するのではないか、と予想しているファンも多いようだ。

Drake, 21 Savage - Pussy & Millions (Audio) ft. Travis Scott

(※1)https://www.npr.org/2022/11/09/1135201548/vogue-drake-21-savage-lawsuit-fake-cover
(※2)https://www.complex.com/music/21-savage-says-he-pushed-drake-to-be-unfiltered-on-her-loss

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