竹内アンナ、“理想の部屋”で聴かせた感情豊かなボーカル インマヌエル礼拝堂での弾き語りツアー追加公演レポ

竹内アンナ、弾き語り公演レポ

 11月12日、竹内アンナ弾き語りツアー『atELIER ‐アトリエ‐』の追加公演が開催された。

 10月から重要文化財や現代建築などを舞台にした弾き語りライブツアーを行っている竹内。その追加公演の舞台となったのは、淀橋教会インマヌエル礼拝堂だ。窓からは温かい日差しも差し込む穏やかな昼下がり、天井の高い、よく響く会場の音響を堪能しながら全17曲の弾き語りを行った。

 彼女の奏でるパーカッシブかつ自由なギタープレイの魅力が発揮されたこの日は「ペチュニアの花」で開幕。するどさや柔らかさといった多彩な音色をギターで弾き分けながら歌うと、高揚する気持ちを歌唱に乗せるような弾む歌声で「ICE CREAM.」へ。ギターを手に奏でる陽気な歌声は、竹内自身もリラックスしているような印象を抱かせる。会場の窓から覗く緑や電車が線路を走る影といった景色も手伝って、穏やかに奏でられる竹内の楽曲が日常の景色を想起させていた。

竹内アンナライブ評(サブ)

 この日のステージセットは、彼女の理想の部屋を再現したものだという。間接照明が灯されたステージには観葉植物が飾られ、棚には彼女の私物だというレコードや本も置かれていた。そんなセットの中でもとりわけ存在感を放っていたのは、3本のアコースティックギター。ライブ中にも紹介があったが、Martinの00-18とジョン・メイヤーシグネチャーモデル、そしてガットギターの3本を使い分けながら、多様なリズムと音色を奏でていた。

 「ギターってこんな音色も出せるんだって気づいてくれたら」と話した竹内は、早速3曲目の「NO no no (It's about you)」では力強いストロークでワイルドな音色を奏でる。透明感のある歌声と太さのあるギターの音色が美しく混ざり合い、間奏のギターソロも軽快だ。同じくクールなギターの音色が響いた「Free! Free! Free!」へ。ときに伴奏に徹し、ときにメロディアスなソロを、そしてパーカッシブな演奏というように弾き分けをする演奏は聴きどころ満載で、オーディエンスも身体を揺らしていた。もちろん、それに呼応するように声色やリズムを変える感情豊かなボーカルも、会場の響きと相まって魅力的であった。 普段から家で曲作りをしているという竹内はこの日、自宅にて1人でギターを弾いている中でアレンジが完成したカバー曲も披露した。つややかなハイトーンボイスとハリのあるギターの低音で魅了したジャネット・ジャクソン「Rhythm Nation」に続き、Adoの「踊」も披露。ダウンチューニングが施された低音弦が迫力ある音色を奏で、美しく静かな妖艶さのある歌声とともに印象を変える。打って変わって穏やかなイントロから自身の楽曲「YOU+ME=」、軽快な「I My Me Myself」と続く。まっすぐに通る歌声が会場にふんわりと広がり、優しい余韻を残した。

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