22/7、グループの足跡を振り返ったデビュー5周年アニバーサリーライブ 現体制で切り拓く新たな道

22/7、5周年ライブレポ

 デジタル声優アイドルグループ・22/7(ナナブンノニジュウニ)が、10月22、23日に東京国際フォーラム ホールAで『22/7 ANNIVERSARY LIVE 2022』を開催した。グループのデビュー5周年を記念するこのライブでは、2日間計3公演を通して22/7のオリジナル楽曲を全曲披露し(キャラクターソング除く)、グループの足跡を辿りながら現行14人体制としての姿を見せていった。本稿では、ファイナル公演となる23日の夜公演を振り返っていく。

 今回のアニバーサリーライブでは、各ブロックの節目にこれまでのシングル及びアルバムリリース当時を振り返るVTR「あの日のわたしたち。」が映写され、続けてそのタイトル収録曲が順次披露されるスタイルでセットリストが組まれた。

22/7

 公演冒頭は、白沢かなえが3rdシングル表題曲「理解者」MVの舞台である、渋谷のスクランブル交差点を訪れるVTRからスタート。2018年夏の記憶をたどりながら、白沢は渋谷の街をカメラに収める。リリース時には存在したはずの東急の駅ビルはすでに解体され、そこには2022年現在でしかあり得ない渋谷駅前の風景がある。街もメンバーたちも、当時と同じではない。移ろいやすい繁華街の姿は、「理解者」が確かに過去の1ページになったこと、そして時を経て白沢が渋谷を訪ねるこの瞬間も、またすぐさま新たな記憶の刻印となっていくであろうことを伝えてくれる。

22/7

 VTRが明けると公演1曲目、すでに現行体制での披露も回数を重ねて力強さを増している「理解者」から楽曲パフォーマンスが開始。「未来があるから」や「韋駄天娘」といった、今春以降のライブでも印象的なパートを占めてきた楽曲が並び、14人が一体となって表現を固めてきていることをうかがわせる。そして「不確かな青春」で柔らかな空気感を作って、公演冒頭の3rdシングルブロックは締めくくられる。

 MCを挟んでのVTRでは、西條和と河瀬詩がまさに本公演の会場である東京国際フォーラムを事前に訪問する様子が映し出される。この会場は一年前の『ANNIVERSARY LIVE 2021』の舞台でもあるが、同ライブは多くのメンバーが順次グループから旅立っていく節目でもあった。VTR内で西條が「(グループの)第一章の保管庫」と語り、河瀬が当時の最新シングル曲「覚醒」の〈走り出そう〉という詞にさまざまな意味を見出しているように、国際フォーラムをめぐる記憶には一抹の寂しさも宿る。

22/7

 この振り返りを踏まえるからこそ、続く8thシングルブロックは、あの頃と大きく趣の異なる今の22/7の姿がより強調される。現在、望月りのが担う迷いのない台詞パートに象徴されるように、「覚醒」はグループの表題曲の中でも群を抜いて前向きな姿勢を歌い上げる作品である。14人で背負う「覚醒」はまさに今春以降、彼女たちが新たな道を走り出した勢いを伝えるようなパフォーマンスになっている。他方、一年前は卒業メンバーのはなむけとして位置づけられていた「いつの間にSunrise」では、客席通路も用いつつ、その優しい曲調を活かしてオーディエンスとコミュニケーションを分かち合うような時間を作った。また、8thシングルの紅白ユニット楽曲では、白組「ヘッドフォンを外せ!」を西條、河瀬、白沢に加えて相川奈央、麻丘真央、月城咲舞、望月が、紅組「今年 初めての雪」では天城サリー、涼花萌、宮瀬玲奈に雨夜音、清井美那、椎名桜月、四条月が入り、充実したボリューム感で、それぞれに作品としての厚みを生み出していた。

22/7

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる