Dannie Mayが目指す、メジャーで活躍する国民的アーティスト像 SMAP、Mr.Children、aiko……“最強のJ-POP”の条件を考える

 同じボーカルグループで活動していたボーカル&ギターのマサと、ボーカル&キーボードの田中タリラ、そして別のボーカルグループや映像クリエイターとして活動していたボーカル兼クリエイターのYunoにより結成された、3人組ボーカルワークバンドDannie Mayによるデジタルシングル「めいびー」がリリースされた。

 この曲は、甥っ子が生まれたマサが、日常を繰り返した先にある「未来」に想いを馳せて書いた極上のポップチューン。メンバー全員が「最強のJ-POP」を目指したというだけあって、ストーリー性のある曲構成や歌詞世界が聴き手を飽きさせない。全員が「歌える」だけあり、それぞれの声質を活かした「歌いわけ」も聴きどころの一つだ。コロナ禍で「当たり前の日常」の大切さに気付いたという3人に、新曲の制作エピソードなどたっぷりと語り合ってもらった。(黒田隆憲)

思えばど真ん中のJ-POPを、以前からずっと作りたかった

Dannie May「めいびー」(Music Video)

ーー新曲「めいびー」の制作プロセスを教えてください。

マサ:僕が作詞作曲を担当したのですが、きっかけは僕に初の甥っ子が出来たこと。ちょうど大阪でのライブが終わって広島へ帰省した機会があり、そこで妹家族の幸せそうな様子に感銘を受けたんです。これまでも様々な場面で子連れの夫婦が楽しそうにしている光景を目にしてきたけど、それが自分の身内になった時に一気に現実味が増したというか。すごくリアルに感じたので、それを曲にして残しておきたくなったんです。

ーー前回のインタビューによれば、Dannie Mayの普段の曲作りはまずYunoさんがMVのプロットを上げて、それに対してマサさんが曲を当てつつアレンジをタリラさんが考えているのですよね?

Yuno:そうですね。今回は「赤ん坊が生まれた」という一大イベントを経て、繰り返される日常へと戻っていく、そんな「今」の連続が未来へと続いていくことを、多幸感溢れる形で描くことになりました。

ーーその時Yunoさんは、どんな映像を思い浮かべていたのでしょうか。

Yuno:MVもそれに沿って「ループもの」にしようと。いろんなことをメンバーみんなで試して乗り越えていって、でも途中で失敗してまた振り出しに戻る、みたいな(笑)。それって「トライ&エラー」を繰り返しながら一歩ずつ前に進んでいく日常を表すことになるのでは無いかと思ったんです。

ーーそういう大まかなテーマやプロットが固まったところから、これまでのようにリファレンスを集めていくわけですね。

Yuno:はい。映像に関してリファレンスにしたのは『リトル・ミス・サンシャイン』という映画でした。黄色いバスに乗って、家族みんなで移動するロードムービーなのですが、あの「特別な日常」感や、「希望」や「期待」を表す色とされている黄色がイメージカラーとなっているところなどを参考にしましたね。いわゆる企画書みたいなものも、デモの段階から同時進行で作っていて、今回だったら『リトル・ミス・サンシャイン』のスチールなどを切り貼りして「こういうイメージでいこうか」と。初期の案では僕らが出演する予定ではなかったのですが、いつの間にか出ることになっていました(笑)。

マサ:今回、かなり体を張ってますね。傷だらけになったり水浸しになったり(笑)、パイを投げ合ったりしながら撮影しました。コメディ的な要素も今回はふんだんに入っているんですよ。幸福で溢れる、心地よい映像の中にも笑いの要素があって、そこがいいフックになるんじゃないかなと思っています。

田中:今までは僕ら出演する場合でも、どちらかというとカッコつけた感じで出てたんですよ(笑)。でも今回は、開始何秒かで大量の水を食らったりして(笑)。みんな笑ってる感じのMVなので、今までとはかなり違うなと。

マサ:ソングライティングのリファレンスに関しては、3人の中で一つ目標を決めていました。それは、「僕らなりの『最強のJ-POP』を追求してみよう」というもの。いつもなら僕ら分業制で、ほぼ完成系のデモができるんですけど、今回は作曲の段階からタリラにも手伝ってもらって。結構一緒にやったよね?

田中タリラ:そうだね。最初にメロディの原型ができて、「いいね」となったんですけど、それから少し経って「新しくメロディを練り直したから」と言って聴かせてくれて。何回かそういうことを繰り返して完成したんですよね。ここまで練り直したことって今までなかったです。

 もともと僕ら、「メジャーフィールドで活躍する国民的アーティストになる」ということを目標に掲げているバンドだったんですよね。思えばど真ん中のJ-POPを、以前からずっと作りたかったんです。そのためには当然ながら技術も必要ですし、デビューしたばかりの新人バンドがいきなりそこを目指すのは無謀すぎるかなと。インディーズから積み上げていくことも大事だし、それを着実に行いつつようやく時期が来たなという感じでもあったんですよね。

マサ:そうだね。「ついに、そこを目指していいのか」「だったらやってやろう」と。今の僕らの世代の人間が、真っ当なJ-POPを目指したらどんなものが出来上がるのか? というのも我ながら興味ありましたし(笑)。

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