指原莉乃と秋元康による“髪型ソング”の違い ≠ME、=LOVE、AKB48らの楽曲から考察

 ただ、指原と秋元の「髪型ソング」からは、当然ながら受ける印象はまったく違う。

 指原による「髪型ソング」からは、曲の主人公である“自分”が髪型を武器にしながら道を切り拓いていく姿がイメージできる。

 髪型がその人の意思そのものであり、また気持ちの強さもうかがえる。たとえば「いらないツインテール」(2019年)では、歌詞に〈媚びる気ないよ 女子高生〉とあるように、周りの意見に流されず自分のスタイルを確立することの大切さが歌われていた。そして「はにかみショート」では、“彼女”は“僕”に内緒で髪をばっさりと切っている。「いらないツインテール」のメッセージ性を引き継ぐかのように、「はにかみショート」の“彼女”は、自分の意思で髪型を変え、そして“僕”をとりこにしていったのだ。

 一方で秋元の「髪型ソング」の特徴のひとつとして、主人公である“僕”が、“君”に対して理想をたくしているように思える(楽曲数が多いので一概に言えるものではないが)。

【MV full】 最強ツインテール / AKB48 [公式]

 なかでもAKB48の「最強ツインテール」(2018年)は象徴的で、〈僕の好きな最強ツインテール〉〈もっともっと好きになる 今 世界で一番可愛い人〉と綴られていた。髪型タイトルではないが「根も葉もRumor」(2021年)でも〈僕が知ってる君は 前髪ぱっつんで〉と、“僕”のなかにある“君”の固定観念が重ねられている。渡辺麻友と乃木坂46メンバーによるコラボユニット・まゆ坂46の「ツインテールはもうしない」(2012年)は、〈もう ツインテールやめよう ずっと変わらないイメージ〉と、周囲が“私”に対して「あなたはこういう人」と向けてくる様が描かれている。“私”はそれに抗って〈ツインテール卒業〉と新しい自分に出会うための一歩を踏み出している。

 秋元が2018年に「最強ツインテール」を作詞した翌年、指原は「いらないツインテール」を制作。そこに因果関係があるかどうかは分からないが、ただそこからも両者の楽曲における「髪型」のとらえ方の違いが感じられる。

 ちなみに近年の「髪型ソング」の代表格である、「前髪切りすぎた」(2015年)の三戸なつめは、2015年5月25日放送『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)のなかで、前髪を短くカットすることで「ネガティブな性格だったけど、前髪を切ったことで(いろんなことが)笑ってごまかせるようになり、前向きになれた。人間ってちょっとのことで変われる」と語っていた。

 たしかに指原、秋元の楽曲からは、「髪型」によって登場人物のちょっとした気持ちの変化を想起することができる。お互いにメッセージ性に違いはあるが、髪型を通した表現から、聴き手がさまざまな考察をふくらませることができる点が「髪型ソング」のおもしろさではないだろうか。

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