RADWIMPS、なぜ歌詞に“心臓”が多く使われる? BUMP OF CHICKEN、サカナクションら音楽性を示す頻出ワード

 UNISON SQUARE GARDENは“街”というワードが頻出する。「シュガーソングとビターステップ」、「オリオンをなぞる」、「桜のあと(all quartets lead to the?)」といったバンドの代表曲をはじめ、「さわれない歌」や「シャンデリア・ワルツ」といった、バンドを象徴する楽曲でも〈街〉というワードが登場している。さらには、UNISON SQUARE GARDENのファンクラブは「UNICITY」という、“街”を起点にした造語で構成されており、バンド自体(あるいは、楽曲を手がける田淵智也)が“街”というワードを大切にしていることがわかる。

 UNISON SQUARE GARDENの楽曲で出てくるキャラクターは、“街”で生き物として形容されることが多い。UNISON SQUARE GARDENは、外向きに視線を向けた歌が特徴的だが、“世界”という言葉で形容されるような壮大な視線を持つのではなく、あくまでも自分の目に見える範囲から視点を出発しているケースが多い印象だ。そのスケール感が“街”というワードに表れているようにも思えるし、物語の起点は“街”から始まるというバンドの哲学のようにも感じられる。

 サカナクションの楽曲には、“夜”というワードが頻出する。これは、アーティスト自身も自覚しており、サカナクションのベストアルバム『魚図鑑』の付録であるブックレットには、歌詞に登場する〈夜〉の文字数がまとめられている。「夜の踊り子」や「アルクアラウンド」といった代表曲に登場しているのをはじめ、「フレンドリー」、「月の椀」、「キャラバン」、「プラトー」など、近年の楽曲でも〈夜〉というワードは変わることなく登場している。楽曲の時間設定として〈夜〉が登場していることも多いし、内面模様の描写としても〈夜〉を使用している例が見受けられるほか、いわゆるネガティブな感情や状態を表現するうえで、〈夜〉というワードに意味性を持たせていることもある。サカナクションの表現や伝えたいメッセージを象徴的に表す言葉が“夜”というワードなのだろう。

 このように、バンドには頻出しているワードがいくつか存在している。そのバンドが意図的に、あるいは結果的に頻出させているワードを探ることで、そこから浮かび上がるメッセージを感じてみるのも面白いだろう。

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