NEWSメンバー分析 第2回:加藤シゲアキ、一貫したものづくりへの姿勢 根底にあるグループを大切に思う気持ち

 8月17日に、12枚目のアルバム『音楽』をリリースしたNEWS。8月27日からは『NEWS LIVE TOUR 2022 音楽』もスタートし、改めて3人が持つ個性がクローズアップされている。そんなNEWSの3人について、今の彼らの取り組みを中心に振り返りつつ、メンバー1人ひとりが持つ魅力に迫りたい。第2回は加藤シゲアキ。

 加藤と言えば、NEWSとしての活動ももちろんだが、最近ではすっかり作家としての顔が広く知られるようになってきた。中でも近年で最も目立った活躍を挙げるとすれば、やはり小説『オルタネート』(新潮社)であろう。2020年に単行本が出版されたこの作品は、第164回直木賞の候補作に選ばれ、翌年には2021年本屋大賞にノミネートされたほか、第42回吉川英治文学新人賞を受賞した。内容はいわゆる青春小説で、読みやすさに重点を置いて執筆されている。吉川英治文学新人賞を受賞した際も、加藤は「読者に伝えたかったのは、読書の純粋な楽しさ」とコメントを寄せている。これまでと作風が少し異なる本作で、作家としてこれまで以上に成熟しつつある様子が窺える。さらに、小説としては異例の公式プロモーションビデオをYouTubeで発表するなど、多方面に感度の高い加藤だからこそ、小説に収まらないさまざまな企画も生まれているのだろう。

加藤シゲアキ/オルタネート (Official Promotion Video)

 また、2015年に出版された短編小説集『傘をもたない蟻たちは』(角川書店)に収録された作品「染色」は、同じ事務所の後輩である正門良規(Aぇ! group)主演で、2021年に『染、色』として舞台化された。本作で加藤は脚本を担当し、第66回岸田國士戯曲賞の最終候補作品に選ばれた。受賞には至らず、選評を見る限り賛否両論あったが、この賞自体が新人劇作家の登竜門として多くの劇作家を世に輩出しており、加藤の執筆活動において新たな可能性を示したことは間違いない。

 一方、タレントとしての加藤の最近の活動に着目すると、メンバーの小山慶一郎と『NEWSの全力!!メイキング』(TBS系)に出演中。「ゼロから作ったら面白そうなモノ」を自作していく“DIYバラエティ”である同番組で、加藤は意欲的にDIYに取り組む姿勢を常に見せており、実際さまざまなものを手際よく作っていく器用さを見せている。小説の執筆も含め、加藤の特性を一つ挙げるなら、コツコツと何かを作り上げていくという作業が本質的に好きだ、ということだろう。毎年梅を購入して梅干し作りに励んでいる、というエピソードもある加藤。仕事でもプライベートでも、時間をかけて取り組むことを厭わず、一つひとつ丁寧に作業を積み上げられることが、今、さまざまな方面で大きな成果を挙げている要因であると言える。

 NEWSの活動の中では、こうした加藤の豊かな才能が遺憾なく反映されたソロワークに注目が集まることが多い。これまでもソロ曲の多くを作詞・作曲・セルフプロデュースしてきたが、最新アルバム『音楽』収録のソロ曲「Agitato」では、編曲にも挑戦している。自身のラジオ番組『SORASHIGE BOOK』(FMヨコハマ)でも、本楽曲の大部分をDTMで自作したことが語られている。今回はこれまでのソロ曲になかったラップをメインとした楽曲で、加藤のハスキーで色気のある声が、力強く個性的な曲に乗って、言葉が押し寄せてくるような仕上がりとなっている。NEWSとしての活動においても、加藤が依然として意欲的に表現を追求していることが、よく表れている作品だ。

NEWS - TRIAD [Official Music Video]

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