NEWS 加藤シゲアキが考える、体験を創る責任 ラジオで語られた“アイドル作家”への思い

 NEWSの加藤シゲアキは「アイドル作家」だ。それは、アイドルをしながら小説を生み出し続けているという“状態”だけを表している名称ではない。アイドルであるからこそ描ける物語を紡いでいるという“素養”、本というメディアにスポットライトを当てる“使命”を持った人であるということ。

物語が人を創る、その体験を創る責任

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 5月2日、加藤は自身がパーソナリティを務めるラジオ『SORASHIGE BOOK』(FMヨコハマ)にて、4月9日に行われた第42回「吉川英治文学新人賞」の贈呈式について語った。最新作『オルタネート』で「吉川英治文学新人賞」の受賞を果たした加藤。本作は第164回「直木賞」候補作に選出され、「本屋大賞」にもノミネートされるなど、高い評価を得た作品だ。

 デビュー作『ピンクとグレー』のタイトルを思い出させる、グレーチェックにピンクのラインが入ったスーツで向かった贈呈式。かつて、雑誌の撮影で袖を通しており「ふさわしい場で着たい」と話していた思い出のスーツだ。当日も主演舞台『モダンボーイズ』に出演していたために、その足で駆けつけたという加藤。その舞台に立った光景を通じて、あの“なぜ人はこんなにも物語を求めるのか”を語ったスピーチが生まれたという。

 「人を癒やしたり、救ったりするし、喜びってものがあるわけです。物語には人を奮わせる力がある」と、毎日同じ物語を演じている舞台に、たくさんの人が見に来てくれる。その光景を目の当たりにしているからこそ、感じることができた気づき。さらに、映画やドラマ、舞台と、小説の違いについても言及する。「白と黒の記号ですよね、文字っていうのは。その記号の先にそれぞれが風景を思い浮かべる。その想像というのは一緒じゃない。その中で、物語が自分のものになっていく」。

 より没入していく体験が、物語が自分の体に染み入っていく感覚が、本というメディアならではの魅力だと続けた。そして「それが人を作っていくし、それがコミュニティを作っていくし、社会を作っていく。その物語を創る責任。与える影響力を自覚して、作家生活を続けていきたいなって思った……って言えたら、かっこよかったのにな(笑)」と言い忘れた思いをチャーミングに補足した。

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