DISH//、雨を吹き飛ばすほどの熱いライブ “宇宙”をテーマにした恒例のコニファーフォレスト公演レポ
ここから幕を開けた後半戦は、まさにハイライトの連続であった。「音花火」では、雨が降り頻る中、北村と橘が屋根のない花道を果敢に突き進んでいく。ずぶ濡れになりながら歌う二人の煽りを受けて、観客たちは、腕を大きく上げて左右に振りながら精一杯応えていく。続く「DAWN」におけるラストのサビ前では、北村が「時には雨だって降るし、晴れの日もあるし、曇りもある。浮き沈みを繰り返して、そういう毎日の積み重ねが、今や明日、明後日、10年後の未来に繋がっていくんだよ! 自分を信じろ!」と渾身のシャウトを届ける。大雨に打たれながら、花道の先頭でまっすぐに手を上げる北村、そして彼の歌声に呼応するようにして、どんどん演奏の熱量を高めていく矢部、橘、泉の姿を観て、改めて、DISH//は本当に逆境に強いバンドだと再認識した。結成以降の10年間、決して平坦ではない道の上を力強く歩み続けてきた4人だからこそ、この大雨という逆境も楽しむことができるのだろう。そして、4人と一緒に全力でライブを楽しむ観客たちも、DISH//と同じように逆境に強い。あの大雨の中でも、雨粒を吹き飛ばすほどの熱いライブ空間が実現したのは、観客たちのそうした姿勢があったからこそなのだと思う。
全て吹っ切れたかのようなハイテンションの矢部が、ステージの端から端へと走り回ってフロアを熱くアジテートしてみせた「NOT FLUNKY」、北村の「まだまだいくぞ!」という言葉を受けて放たれた炎の特効がステージを熱く彩った「Seagull」。そして、本編のラストに披露されたのは、ライブ前日に配信されたばかりの新曲「Replay」であった。「過去は絶対に取り戻せない。今、世の中がどんな状況であっても、自分に素直に、泣いたり悔しがったりしてもいいから、今を大事にしてほしい」という北村の真摯な言葉と合わせて届けられた同曲は、決して巻き戻すことのできない日常の切なさと、かけがえのない明日へ共に歩もうという眩い覚悟を同時に伝えていた。今回の公演を締め括るにふさわしい名演であったと思う。
小雨が降り止まない中、アンコールのステージを待つ観客たち。その想いに応えるようにして、4人が再びステージイン。「みなさん、雨の中、待ってくれてありがとうございます」という北村の感謝の言葉の後に披露されたアンコール1曲目は、「好きになってくれてありがとう」。ファンとの絆を共に確かめ合うような、美しい時間が流れていた。アンコール2曲目の「No.1」が披露される頃には、降りしきっていた雨がすっかり止んでいた。北村は、「今、止むんじゃねえよ、雨! なんなら降ってろ!」と最高潮のボルテージで叫び上げる。ラストは、DISH//流ダンスロックの真髄のような代表曲「愛の導火線」で大団円。言葉通り、大雨という逆境を見事に跳ね除けてしまうような、圧巻のライブだった。
今回、コニファーフォレスト公演を大成功させた彼らは、その勢いのまま、12月24日の大阪城ホール公演、12月25日の国立代々木競技場 第一体育館公演という大舞台へ向けて駆け抜けていく。DISH//にとって初のアリーナ公演となるが、今回、堂々たるライブを見せつけてくれた彼らに不安はないだろう。きっと、さらに進化したパフォーマンスをもって、結成10周年イヤーを鮮やかに締め括ってくれるはずだ。走り続ける4人の勇姿を追いかけていきたい。